小浜湾沿いにある少年像。台座に「福井県」のプレートがはめ込まれている=福井県小浜市甲ケ崎

あどけない表情で口を開ける少年像=福井県小浜市堅海

 福井県内に謎の少年像が点在している。いずれも半袖、半ズボンのオーバーオール姿。台座に刻まれた文字にちなみ「ひとやすみ坊や」などと呼ばれ、これまでに小浜市など6市5町の26カ所で見つかっている。正面下部に「福井県」と書かれたプレートがはめ込まれているが、正体は不明だ。

 少年像は高さ約0.5メートルでブロンズ製とみられる。約1メートルの台座に立ち、両手を腰に当て上を向いて口を開けた像と、目の上に手をかざし遠くを眺めている像の2種類が確認されている。道路沿いの空き地やミニ公園、展望台の一角に整備されているケースが多い。

 台座正面には文字が刻まれている。▽ひとやすみ(小浜市、福井市、坂井市、勝山市、大野市、永平寺町、南越前町、若狭町)▽紺碧(こんぺき)(小浜市、若狭町、高浜町)▽水辺のいこい(大野市、池田町)▽鳥の声(鯖江市)▽山河と親しむ(池田町)▽谷間のやすらぎ(大野市)▽やすらぎ(南越前町)▽願望(坂井市)―とさまざま。像のある場所によって使い分けられているようだ。

 小浜市田烏の少年像は青く塗られている。坂井市三国町の東尋坊近くの像は前に傾いている。台座しかない所もある。

 誰がいつ、何のために設置したのか。少年像、君の名は?

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 謎の少年像は小浜市内に少なくとも8カ所あり、県内の自治体で最も多い。像を不思議に思った同市の若狭おばま観光協会が、台座下部にある「福井県」のプレートを手がかりに調べたところ、県が何らかの理由で整備したとみられることが分かった。同協会は“少年像を巡る旅”を提案し、観光資源化を模索している。

 同協会によると、県小浜土木事務所が管内にある複数の少年像の写真を保管していたが、詳しい資料は残っていなかった。

 県財産活用課は福井新聞の取材に対し、「管理する所有物のリストに少年像の記載はない」と説明。道路や公園などを所管する県土木部の担当者も「分からない」。小浜土木は「どの像も休憩用のスペースやポケットパークに建てられている。そこを整備した際に像も一緒に造ったのでは」との見方を示す。

 近代日本を代表する福井市ゆかりの彫刻家、高田博厚の作品を常設展示する市美術館の河野泰久副館長は「著名な彫刻家の作品など美術品の場合は資料が残っているはず」と指摘。少年像のどこにも作者のサインがないため「流通している像を大量に取り寄せたのではないか」と推測する。

 坂井市三国町の東尋坊近くには「ひとやすみ」と刻まれた台座の上にカメの石像が置かれている。河野副館長は「少年像が潮風で劣化し、取り換えたのかもしれない」と思いを巡らす。

 若狭おばま観光協会は、小浜市内の少年像と観光スポットを結びつけたドライブコースをつくり、ホームページに掲載。県内各地の少年像の位置をまとめたマップも作った。これを基に「全ての像を制覇した」と交流サイト(SNS)に投稿する“つわもの”も現れている。

 同協会の担当者は「少年像のあどけない表情がかわいい。まだ見つかっていない『坊や』があるはず。少年像を探す旅は密にならず、コロナ禍に最適」と話している。

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