帰国したばかりの地村さん夫妻と、小浜湾を望む展望台を訪れた浜本雄幸さん(左)=2002年10月24日、福井県小浜市

 福井県小浜市の拉致被害者、地村富貴恵さん(66)の兄、浜本雄幸(はまもと・ゆうこう)さんが4月28日午前5時38分、老衰のため同市内の高齢者施設で亡くなった。93歳。

 富貴恵さんと保志さん(66)は、婚約中だった1978年7月7日、小浜市の小浜公園の展望台で、北朝鮮工作員に拉致された。当時は手がかりがなく、雄幸さんは、保志さんの父保さん(2020年7月死去)と2人を捜し続けた。

 97年に拉致被害者家族連絡会、98年には「救う会福井」が発足。外務省や警察庁にも足を運び、被害者全員の救出を訴え続けた。

 2002年9月の日朝首脳会談で、北朝鮮が拉致を認め、同年10月に地村さん夫妻を含む拉致被害者5人が帰国した。雄幸さんは羽田空港で出迎え、富貴恵さんと24年ぶりに再会した。04年5月には、夫妻の3人の子どもも帰国した。

 雄幸さんは、その後も他の拉致被害者の帰国を願い活動を続けていたが、近年は高齢となり控えていた。親族によると、21年12月に体調を崩し、市内の高齢者施設に入所していたという。

 雄幸さんの死去を受け、福井県の杉本達治知事は「長年にわたり全力を尽くされてこられたことに、深く敬意を表し、心から感謝申し上げます」、松崎晃治・小浜市長は「雄幸さんの悲願だった全面解決に向け、今後とも全力で取り組んでまいります」とコメントした。