杉本彩さんの猫

間もなくゴールデンウィークがやってくる。長ければ7日から10日間の休暇をとる人もいるだろう。また、日本では数少ないが、夏休みにはヨーロッパのバカンスのように、なかには1ヶ月近く休暇をとる人もいる。そんな時、ペットと暮らしている人はどうしているのか。ペットがいるから旅行には行けない、旅行に行けなくなるからペットは飼わない、そんな話しを昔からよく聞くが、どちらもペットの存在を重んじているのでほっとする。

しかし近年は、ペットの種類や大きさに制限はあるものの、ペットと泊まれるホテルや施設が増え、家族であるペットと共に国内旅行を楽しむ人も多い。大好きな飼い主さんと自然豊かな旅先で、犬が楽しそうに過ごしている光景は素敵だ。けれど、海外などペットを連れて行けない旅先を選ぶこともあるだろうし、国内の宿泊施設も、ペット可であるところは限られているので、ペットはお留守番という場合も多いはず。

ずいぶん昔だが、こんな話しを聞いたことがある。仕事の都合でペットホテルに長期間預けていたら、その間に犬の性格が変わってしまった、と。信頼していた飼い主に置き去りにされたと思ったのか、ホテルの環境が悪くストレスからメンタルが不安定になってしまったのか、詳しい状況と原因はわからない。けれど、長期間よそに預けられるというのは、ペットにとって嬉しいことではないだろうし、大きなストレスとなることもあるだろう。旅行中ペットを預ける際には、ペットの心身への影響を充分に考慮して、信頼できる預け先を慎重に選んでほしい。なぜなら、以前こんな問題がニュースになったからだ。

大手の有名なペット用品専門店の「ホテルサービス」では、「お散歩朝夕2回」「夕方のお散歩」などと記載していたが、屋外での散歩を実施していない店舗があったという。これは、景品表示法に違反する。他にも同サロンで、「全てのトリミングコースに炭酸泉シャワーを使用しております」と記載していたが、実際には全く使用していなかったり、一部で使用していなかったりしたようだ。この違反行為が確認されたのが3年間というのだから確信犯だ。

また、さらに酷いペットホテルもある。大手の有名ペットショップが営むホテルサービスについて、以前、当協会に内部告発があった。ホームページにあるペットホテル風の場所ではなく、預かった犬は店のクレートに移されバッグヤードで病気の犬猫と同じ空間にずっと置かれたままだったというのだ。ペットショップの生体展示販売で、ショーケースに並ぶことのできない病気の犬猫が、バックヤードの酷い状況下でネグレクトされていることが多いのだが、その犬猫と同じ空間にいたそうだ。感染症などのリスクある環境で、散歩も行かない。表の謳い文句とはまるで異なる扱いだ。このペットショップについては、過去に預けた犬が亡くなったケースもあった。景品表示法違反どころか、それ以外の罪にも問えそうなくらい悪質である。

このようなことがあるので、ペットホテルサービスなどについては、充分に調べていただきたい。なぜなら、もの言えないペットは、たとえおかしなことがあっても、自分で訴えることはできない。ひたすらその状況を受け入れ堪えるしかないのだ。愛する家族を、そんな苦痛やリスクから守れるのは飼い主だけなのだ。慎重にいろいろと確認してほしい。

お世話をしてくれるスタッフや責任者の保有している資格やキャリア、さらには人間性も重要だ。そして、どんな環境のどんな部屋でペットが過ごすのか、快適に過ごせるかどうかも確かめたい。飼い主の要望に合わせてLINEやメールなどを使い、画像や動画付きのレポートなどのサービスがあると安心度が増す。

次に、以前から気になっているのは猫の留守番についてだ。私がたまに耳にするのは、2泊くらいならいいだろうと、山盛りのキャットフードを皿に入れて家を空けるという話しだ。なかにはもっと長いケースも聞いたことがある。新鮮な水と適切な給餌は適正飼養の基本だ。また、何日もトイレ掃除できないわけだから、きれい好きの猫は不快な思いをするだろう。季節によっては冷暖房や、窓の開閉などによる室温調整も必要なはず。

猫は犬以上に、ペットホテルなどの慣れない場所にストレスを感じるので、家で留守番させることが多いと思う。留守番の際は、友人や家族に最低でも一日一回は家に来てもらい、お世話を頼むなどしてほしい。身近に頼める人がいない場合は、ペットシッターをおすすめする。

私は以前、猫専門のキャットシッターをよく利用していた。3年前までは、京都と東京の生活が半々の割合だったため、東京の自宅にも3匹の猫がいた。東京では、地方や海外ロケなどで家を空ける時以外にも、仕事が深夜まで長引くことがわかっている時には、キャットシッターにお願いしていた。やはり規則正しい給餌はペットの健康にとって軽視できないし、不規則な仕事だから仕方ないと、ペットにそのしわ寄せがいくのは申し訳ないと思うからだ。たとえ私が留守であっても、なるべく生活のリズムが変わらないように努めている。

ペットシッターは、拠点としている地域から効率的に出張できる範囲で動いているので、引っ越しすると、その地域によっては新たなシッターさんを探さないといけないこともある。私は、ペットシッターというものが、まだこんなにメジャーではなかった頃から長年利用していたので、引っ越しに伴い、2人のシッターさんにお世話になった経験がある。どちらも個人で営業されていて、とても信頼できるプロフェッショナルなシッターさんだった。特に2人目のシッターさんとは長いお付き合いとなり、月に何度かお願いしていたので、本来はその都度受け渡しする家の鍵も、私はずっと預けていた。もちろん信頼関係ができているから安心して預けておける。仕事しながらペットを養っていく飼い主にとって、ペットシッターの存在は、本当に心強くありがたいものだ。

近年は個人営業だけでなく、ペットシッターの派遣会社として企業化するところも増え、ますますメジャーな職種として認知されてきている。

信頼できる預け先や、信頼できるペットシッターを見つけることも、ペットを守るための飼い主の責任です。ゴールデンウィークを目前に、ぜひ参考にしてください。

(Eva代表理事 杉本彩)

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 杉本彩さんと動物環境・福祉協会Evaのスタッフによるコラム。犬や猫などペットを巡る環境に加え、展示動物や産業動物などの問題に迫ります。動物福祉の視点から人と動物が幸せに共生できる社会の実現について考えます。