「安倍政権が目指した日本の方向と、今後のとるべき道」と題し講演する安倍晋三元首相=4月8日、福井県福井市の福井商工会議所ビル

 福井県の福井新聞社は4月8日、元首相の安倍晋三氏を講師に招いた「第473回政経懇話会 4月特別例会」を福井市の福井商工会議所ビルで開いた。ロシアによるウクライナ侵攻を「戦後つくり上げた国際秩序に対する深刻な挑戦」と厳しく批判。国を守るためには強固な日米同盟が重要とした上で「最低限の打撃力は持つ必要がある」との認識を示した。

 「安倍政権が目指した日本の方向と、今後のとるべき道」と題して講演した。安倍氏は、集団的自衛権の行使を限定的に認めた安保法制により日米の役割のバランスが取れたと指摘。日米同盟が強固であることを示すことが抑止力の強化につながるとした。

 「集団的自衛権の行使が可能になれば戦争に巻き込まれると非難されたが、実態は逆。ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に入っていればロシアは攻めなかった」と強調。「バルト3国ははるかに軍事力が小さいが、NATOに加盟しているため攻められていない。だからこそ同盟関係は大切だ」と語った。

 一方で、東方に勢力を拡大するNATOに対し「約束が破られたというのがロシアの主張」と指摘。「昨年ロシア軍がウクライナを取り囲んだ段階で、NATOには入らないと宣言し、東部2州の高度な自治をしっかり実行することで、解決できなかったのかという思いもないわけではない」と述べた。

 懸念される台湾海峡有事との類似点としては▽ロシアと中国は国連安全保障理事会の常任理事国。当事国が常任理事国の場合、安保理は機能しない▽ウクライナ、台湾ともに同盟国がない―の2点を挙げた。一方、台湾はほとんどの国から独立国として認められていないことがウクライナとの違いとし「中国が台湾を統一しようと軍事行動をとったとしても、国際法には違反せず領土の一体性を回復するための行為というのが、恐らく中国の主張になる」との見方を示した。

 第2次安倍政権で行った経済政策「アベノミクス」や日本の財政などについても語った。