恐竜学部の狙いなどを語る西弘嗣所長=福井県永平寺町の県立大永平寺キャンパス

 福井県立大学は、恐竜学や地質・古気候学を学ぶ全国初の学部「恐竜学部」を2025年度に開設する。恐竜のデジタルコンテンツ作成・提供などを手掛ける産学連携の大学発ベンチャー企業「恐竜総研」も昨年設立した。県立大学恐竜学研究所の西弘嗣所長に、今後の展望や課題を聞いた。

 -恐竜学部の狙いは。

 進士五十八(いそや)学長と東洋一名誉教授(県立恐竜博物館名誉顧問)が、以前から構想していた。恐竜は幅広い世代にファンが多い魅力的なコンテンツで、これを活用して大学をつくったら面白い。福井県は人口の約3割が65歳以上。今後さらに人口減少や少子高齢化が進み、国立大の統合も予想されている。若い人を定着させるようなインパクトのある大学が必要だ。恐竜を入り口に、地質や土木、防災、観光関連の人材育成にも注力していく。

⇒恐竜学部のキャンパスは福井県立恐竜博物館に隣接

 -恐竜学部では、VR(仮想現実)やMR(複合現実)など先端技術を駆使した「デジタル古生物学」研究を推進する。

 恐竜博物館の資料や標本を参考に、恐竜をどんどんCG化する。いったんCG化すれば、デジタルコンテンツとしていろんな分野に応用が利く。それを卒業研究、修士論文研究に使う。こうしたコンテンツを観光分野などで発信し、いかに社会で活用するかを考えることも重要だ。

 -2021年12月に福井新聞社と「恐竜総研」を設立した。

 研究成果のアウトプットには、発信力と影響力が必要。大学の研究者が各所に売り込みに行ってもなかなか成功しない。メタバース(インターネット上の仮想現実空間)が注目され、3Dデジタルコンテンツの活用は追い風が吹いている。新聞社の提案力、人脈を活用し、3D広告や観光振興、集客イベントなどでの利用を広げる。

 1回見れば飽きられる可能性もあるオブジェと違い、デジタルコンテンツは何度も更新、変更できる。国もデジタル産業で新しい展開を模索している。恐竜人気は高まっており、国会議員の間には「恐竜議連」もある。県だけでなく、国も含めて大きく活動が展開ができないか模索したい。長崎県など恐竜を地域活性化に生かしている自治体同士で連携することも重要になる。

 -今後の目標は。

 我々は研究者なので細部にこだわる。ジュラ紀や白亜紀の森林環境、恐竜の脚の動かし方などは専門家じゃないと分からない。それぐらい精密にやると展示としてのグレードが上がる。将来的には当時の世界を探検するようなコンテンツを開発、提供したい。

 西 弘嗣氏(にし・ひろし) 九州大学大学院理学研究科博士後期課程修了。専門は古生物学、地質学。主に海洋プランクトンなど海中の堆積物を調査し、地球環境がどのように変化してきたかを研究している。北海道大学大学院教授、東北大学学術資源研究公開センター教授などを歴任。2020年から現職。日本学術会議会員。熊本県出身。