新電力と契約する福井県嶺北地方の繊維関連企業の電気料金請求書。燃料価格高騰の影響で上がり始めた昨年9月分(左)に比べても、今年1月分(右)は倍以上となっている

 新電力と契約する福井県嶺北地方の繊維関連企業の50代社長が福井新聞の取材に応じ、電気料金高騰の実態を語った。燃料価格高騰を背景に昨秋以降急激に上昇し、割安だった昨春の電気料金に比べて今年1月分は約4倍に。「早く解約しなければ」と他の新電力や北陸電力への法人契約切り替えを探したが、どこも受け付け停止で、切り替え先が見つからない。「ぎりぎりの経営を続けてきたが、高騰が続くと廃業しかない」と訴える。

 会社は家族経営で、繊維商社から糸を預かり受託加工する仕事だ。電力契約を北陸電力から新電力に切り替えたのは2020年10月。東証1部上場のグループ会社と「市場連動型」料金プランで1年契約した。「『北陸電力よりも安くなりますから』と言われて。内容に不安もあったが、新型コロナウイルス禍で経営が厳しい中、少しでも負担が減るなら、と思った」

⇒北陸電力に法人契約切り替え殺到し受付停止

 市場連動型は、卸電力取引所の市場価格に連動して従量料金の単価が決まる。昨冬は電力需給逼迫(ひっぱく)で卸電力市場価格が高騰したが、「新電力側が『契約したばかりなので』と安い料金に抑えてくれて安心していた」という。昨年4月分も割安の8万円台に落ち着いていた。

 だが契約が自動更新された後、突然、11月の電気料金が当座預金の残高不足で引き落としされていない、と通知が来た。料金を確認すると31万円超。北陸電と契約していた頃でも20万円以内に収まっていたのに、「見たこともない金額」に跳ね上がっていた。

 12月も33万円台、今年1月分は38万円超と上がり続けた。燃料価格高騰による昨秋以降の卸電力価格の急激な上昇をもろに受け、料金明細にある1月の平日ピーク単価は昨年4月に比べて4倍近くになっていた。「通常の電気代だと加工賃の1~2割に収まるが、一気に5割以上になってしまった」と、会社存続が厳しい状況にまで陥った。

 もう限界だと感じ、2月に入って新電力側に電話すると「解約金を払って他社に切り替えてもらって構わない」とあっさりした対応だった。急いで他の新電力を調べたが、新規受け付けしている社が見つからない。北陸電力に連絡しても全面停止だとして断られた。

 2月以降は電気料金を少しでも抑えようと、平日日中の工場稼働をやめ、単価が安い午後10時以降の夜間に稼働をシフトした。だがその分、稼働率は半減した。「原材料価格、輸送費の高騰のしわ寄せに加え、異常な電気代の値上がり。三重苦どころじゃない。リーマン・ショック後、ずっと家族経営で厳しい中をくぐり抜けてきたが、これ以上続くなら廃業しかない」と吐露する。