フクイベナートルの生体復元模型(荒木一成さん制作、福井県立恐竜博物館提供)

テリジノサウルス類と判明したフクイベナートルの全身復元骨格化石。首が短いなど原始的な特徴を持つ(福井県立恐竜博物館提供)

 福井県勝山市北谷町杉山で発見された新種の小型恐竜「フクイベナートル」が鳥類に近い系統の「テリジノサウルス類」に分類されることが、福井県立恐竜博物館(勝山市)などの研究で分かった。これまで確認されてきた同類の恐竜の中で、最も原始的とみられるという。同博物館は今回の成果が、恐竜から鳥への進化の過程を研究する土台になるとしている。

 フクイベナートルは鳥類に近縁なグループと推定されていた。ただ、研究の中心的役割を果たした同博物館の服部創紀研究員(福井県立大学恐竜学研究所助教)は「化石にさまざまなグループの特徴が混在し、詳細な分類を決める明確な根拠がなかった」と話す。

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 そこで2019年度からフクイベナートルの化石にCTスキャンを実施。骨同士が密着しクリーニングができなかった部分などを解析し、新たに約500の特徴があることを確認した。

 その上で、ほかの恐竜化石との比較検討した結果▽胴体部分の背骨が11個以下▽上腕の骨の肘側の関節が前方に発達―など、共通する特徴が最も多いテリジノサウルス類と結論付けた。さらに服部研究員は「同類は胴体部の背骨の数が進化すると10個以下なのに対し、フクイベナートルは11個。また進化によって首の骨も長くなるが、フクイベナートルは比較的短いため、最も原始的な種類だと考えられる」という。

 テリジノサウルス類は主に肉食恐竜が占める「獣脚類」の一群だが、頭部が小さく首が長いなどの特徴から草食性とみられる。フクイベナートルも肉食恐竜より首は長いものの、先端がとがった歯など肉食恐竜の特徴も併せ持つため、雑食性と考えられる。こうした点から同類が進化の過程で肉食性から草食性へと変化したと推測されるという。

 また恐竜から鳥類が枝分かれして誕生するのは約1億5千万年前(ジュラ紀後期)以前とされている。フクイベナートルが、その枝分かれの時期に近い原始的な特徴を持つ種類と判明したことで、服部研究員は「フクイベナートルの情報が、恐竜から鳥類への進化史を探る上で重要な役割を担うことが期待される」としている。

 研究成果は2月6日にオンライン開催される日本古生物学会例会で報告される。

 フクイベナートル 2007年に勝山市北谷町杉山の約1億2千万年前(白亜紀前期)の地層で全身の約7割に当たる化石が発掘され、16年に新種に認定された。推定全長は約2.5メートルと小型で、羽毛があったと考えられている。