豊富なカラー画像を交え、ガイド本仕立てで火星の大地を紹介する「火星の歩き方」

野口里奈さん(国立極地研究所提供)

 気球で巡る火星一周ツアーはいかが―。惑星火山学が専門で探査機「はやぶさ2」のプロジェクトにも携わった新潟大学助教の野口里奈さん(34)=福井県坂井市出身=ら研究者3人による、火星の自然をガイドブック仕立てで紹介する「火星の歩き方」が出版された。昨年はアラブ首長国連邦、米国、中国の探査機が相次いで火星に到着。野口さんは「新しい火星探査時代が始まった。中高生や一般の人に、火星そのものに興味を持ってもらいたい」と話している。

 火星にはかつて厚い大気が存在し、海や湖、河川があった。同書では45億年の間に火山活動や河川による浸食でできた、火星のダイナミックな大地を巡るジオツアーを“提案”している。

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 気球に乗って西から東へと一周するルートは、洪水堆積物や溶岩流で形成されたアマゾニス平原をスタート。太陽系最大の火山である標高20キロのオリンポス山を回り、火山群タルシス三山を経て、巨大なマリネリス峡谷を飛ぶ。特徴的な山や谷、砂漠地帯などの成り立ちを、豊富なカラー画像を交え詳細に解説した。

 アイスランドやハワイ、南極など、地球上で地形や地質が火星と似た場所も紹介している。野口さんは一般書の執筆は初めてで「掲載した火星の画像は一切妥協しなかったので、じっくり見てほしい。火星学者の視点で地球も歩いてみてほしい」とアピールする。

 野口さんは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所研究開発員としてはやぶさ2のプロジェクトに参加。現在は、第63次南極地域観測隊の夏隊の一員として、南極で地震や大気の揺れの観測に従事。将来の火星探査に向け、火星に似た場所の探索にも取り組んでいる。

 「火星の歩き方」は光文社新書。1078円。