クロマダラソテツシジミが入った標本箱を持つ高橋芳夫さん=福井県越前市

 東南アジアなど亜熱帯地域で見られるチョウ「クロマダラソテツシジミ」が、福井県内で初めて若狭町で確認された。昆虫採集愛好家の高橋芳夫さん(69)=越前市=が、クロマダラソテツシジミが卵を産み付けるソテツが多く育つ若狭町に数年前から足を運び、捕獲に成功した。高橋さんは「偶然が重なって見つけることができた」と話している。

 クロマダラソテツシジミは台湾やフィリピン、マレーシアなどに生息。ソテツに卵を産み、幼虫は新芽や若い葉を食べて成長する。国内では1992年に沖縄県で初めて確認され、2000年代になると九州や関西、中部地方でも確認されるようになった。

⇒高橋芳夫さんが採集したクロマダラソテツシジミの雌の成虫

 高橋さんはクロマダラソテツシジミがいずれ福井県にも北上してくると考え、5、6年前からソテツが多く見られる若狭町に足を運び観察を続けていた。昨年10月、同町内の民家内にソテツの新芽が生えているのを確認。近づくと成虫が飛び出してきたという。

⇒「海を渡るチョウ」福井県に飛来

 成虫を捕獲し、住民の許可を得て卵が付いた葉も持ち帰った。自宅でふ化させ、成虫に育った13匹は全て標本にして保存した。

 専門誌「月刊むし」に報告すると、担当者から福井県内では初確認との返答があった。高橋さんは「発見した後も何回か同じ場所に足を運んだが、一度も見ることはできなかった。運が良かった」と話している。

 福井市自然史博物館の梅村信哉学芸員によると、クロマダラソテツシジミが北上する原因は明らかになっていないが、地球温暖化が影響している可能性があるという。幼虫は新芽や若葉を食べるため、ソテツの害虫とされているが「県内では越冬できず、急激に増える可能性は低いと考えられる」と話している。