雷に関する研究でJAXAが気象レーダーを設置する予定の福井空港の旧管制塔(左上)=福井県坂井市

 航空機が雷を受けやすいエリアを予測し飛行ルートの設定などに役立てようと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が福井県坂井市の福井空港に気象レーダーを設置し研究に着手する。JAXAは福井空港で積雪観測の実験を昨冬から行っているが、福井は世界でも珍しい冬の雷の多発地帯で、雪に続いて研究に適した自然環境だと判断した。取材に対しJAXAが明らかにした。

 航空機は飛行中に機体に雷が落ちても安全に飛べるよう設計されているが、機体が損傷したり、着陸後の点検作業などで欠航や遅延が発生したりする場合がある。特に最新の航空機は、軽くて強い炭素繊維複合材料(CFRP)を多く用いており、損傷すると金属より修理が難しいという問題がある。

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 JAXAは雷が起きそうなエリアを予測し、飛行ルートや離着陸のタイミングの設定に役立てようと、2018年から「被雷危険性予測技術」の研究を本格的に行ってきた。これまでは気象庁が全国に配備している「Cバンド(C帯)レーダー」の観測データを購入し、小松(石川県)や羽田など各地の空港周辺で被雷しそうなエリアを予測・検証してきた。

 さらに精度を高めるため、福井空港の旧管制塔の屋上を借り、自前の「Xバンド(X帯)二重偏波レーダー」(高さ約2メートル)を22年度に設置したい考え。C帯レーダーよりも雲の中の粒子の種類を高精度に検知できるのが特長。雷は、雲の中であられと小さな氷の粒「氷晶」がぶつかり、摩擦で静電気を帯びて発生するとされる。X帯レーダーで電波を発射し、あられや氷晶の多いエリアを判別し、雷の危険性を推測する。観測半径は約80キロで、特に小松空港方面をチェックする考え。小松空港は1便当たりの被雷が国内有数の多さだという。研究期間は24年度末まで。

 JAXA航空安全イノベーションハブの吉川栄一・主任研究開発員(40)は「冬季雷(とうきらい)は日本海沿岸など世界でも限られた地域でしか発生しないとされ、特に多発する北陸は研究に向いている」と話す。福井地方気象台によると、福井市で雷が観測された日数の平年値は年間37・4日。全国の気象台で、金沢市の45・1日に次いで2番目に多い。

 JAXAは20年に福井県と航空科学技術に関する包括協定を締結した。昨冬からは福井空港で積雪観測の実証実験を実施。滑走路に埋設したセンサーで積雪深と雪質をリアルタイムに把握する世界初の技術「雪氷モニタリングシステム」の開発を目指している。