まとまった積雪から一夜明け、足元に気を付けながら通勤する人たち=2022年1月7日午前、東京・JR新橋駅前

こんにちは。ゆるパブコラム公認コラムニストのちばです。東京から福井県に移住してもう少しで6年目を迎えますが、ようやくエセ福井弁が自然と口からでるようになり、うっすらとですが血の中に福井県の文化も混じり始めているかと思います。移住してから福井の豪雪も経験し、毎日泣きたくなるような雪かき、そしてそれに伴う腰痛をも感じることに成功するという日々を過ごしています。この冬の時期になると「雪遊びしたいから雪積もれ!」とはしゃぐ子どもを尻目に「雪、降りすぎてくれるなよ!」と心から願うわけですが、東京出身の僕はこの「雪が降る」という事態に関して東京と福井で経験していて、その中で“都心部で積雪があった時に、過剰な報道に鼻で笑う”ということも両サイドからみてきました。ただ、この過剰な報道に鼻で笑うことに対して発見した深い意味に気づき今になって後悔したのです。

■福井出身の妻が鼻で笑った報道

 僕は東京生まれ東京育ちですが、福井ミラクルエレファンツの選手として福井県で1年間生活したあと、福井で出会った現在の妻と東京に戻り8年間過ごしました。福井出身の妻が東京での生活にも慣れ始めた冬。その冬は東京にも寒波が到来し、それと同時に漏らすことなく“過剰な積雪報道”は始まりました。その報道を見た福井出身の妻がこう言ったのです。「歩き方を教えるっておかしいね」と。そう。妻はこの都心の積雪報道を鼻で笑ったのです。さらに1年だけ過ごしていい気になっていた僕も「注意呼びかけすぎだから」とこれまた鼻で笑ったのです。今思えばなんとも情けない話なわけですが、それくらいに僕と妻の目には東京での積雪報道がやけに滑稽にみえておかしかったのです。

■東京で積雪があると地獄

 ただ、東京という場所は雪国を想定してインフラを整えているわけではないのはご存知の通りで、少しの積雪でも地獄がまっています。道路から水が出るわけでもなく、除雪車が走るわけでもない。ママさんダンプが各家庭に常備されているわけでもない。移動が自転車や徒歩がメインであるため、移動にも困難が生じます。都心で10cmの積雪は、福井の大豪雪くらい困難が生じるわけです。「わー、雪だるま作ろう」なんて思いながらも、仕事に行けない、買い物に行けないという状態に。そういった意味で考えれば、都心で過剰な積雪報道が出るのも不思議ではないですよね。しかし、どうしても雪国で生活をしていると都心に降る1cmごときの積雪は鼻で笑う対象になりかねません。ですが、ある程度歳を重ねた今、この積雪報道に笑ってしまうことへの意味に気づいてしまったのです。

■福井に来た時にも鼻で笑ったこと

福井出身の妻が東京の積雪報道を鼻で笑ったのをみて、僕が福井に初めて住んだ時のことを思い出しました。実は僕も、福井での出来事に鼻で笑ったことがあったなと。それは「東京ではこうだけど、福井はこうなんだ」ということ。例えば、セブンイレブンやスタバが当時1店舗もなかったことや、車に付ける謎のカーテンやブラックライト、流行っていたクロックスやキティちゃんのサンダルなどに僕は鼻で笑ったわけです。(全部、妻のことです笑)
それを考えてみると、今になってこう感じるわけです。「相手の立場になってまったく物事を考えていないな」と。多様性だのなんだのと騒がれる昨今。相手の立場になって考えることが最重要であるのに、なんという失態を過去犯していたんだろうかと恥ずかしくなりました。

■役割取得能力の重要さ

 時代は令和。さまざまなことが変容を遂げています。さらにこのコロナ禍によって、僕たち一人一人の意識や生活様式は大きく変わったのかもしれません。それに合わせて他者の立場に立って考えることはとても重要な視点であり、コミュニケーションだけでなく、大きな視点で言えば国家同士だってこの視点は必要なものです。相手の立場に立って考える能力は心理学では役割取得能力と言われています。自分とは違う、自分ではない相手はどんなことを思い、どんな考え方をしているのか。そしてどんなプロセスを経て今に至っているのかを考えることは良好な関係構築には必須で、それは都心と地方をつなぐことにも必要なものでしょう。都心の積雪報道に鼻で笑ってしまったあの日。僕と妻にはこの役割取得能力がなさすぎた。どんな状況だろうと、自分だけではなく相手の視点でみることを怠ってはいけないなということを、先日の東京での積雪報道をみて再確認しました。
ニュースをみていたら「雪国出身だからって調子にのって走ったら転んでしまいました!」と満面の笑みで女性が語っていました。雪はどこにいたって滑るものなので気をつけましょうね。

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【ゆるパブコラム】福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などがゆるくつながり活動する一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。ゆるパブメンバーを中心に執筆中。