野球4番、なぜ「よばん」

 「なぜ野球の4番バッターは『よんばん』ではなく『よばん』と呼ぶのか、子どもが不思議がっています」。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に疑問が寄せられた。チーム主軸の代名詞にもなっている「よばん」。呼び方の背景を探ってみた。

 プロ野球や高校野球の球場アナウンス、中継放送の呼び方は「よばん」。NHK広報局は「野球の打順は古くから聞き慣れ、定着している『よばん』を使っている」と説明。ネット上で調べてみると、戦前の中等野球(今の高校野球)でアナウンサーが「よばん」と言っている音源があった。

 野球文化の研究者やマスコミ関係者らでつくる団体「野球文化學會(がっかい)」の会長で、野球史研究家の鈴村裕輔名城大准教授も「定説はないが、中継放送で発音のしやすさから定着したのではないか」と推察する。

 言葉の分野からアプローチできないか、「数え方の辞典」(小学館)などの著書を持つ飯田朝子中央大教授に聞いた。

 数え方の「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち…」は漢語読み。飯田教授は「漢語で数える時に『し』と『しち』は音が似ている。区別しやすくしたり、前後の数字とのつながりを分かりやすくしたりするため、和語の『よん』『なな』に置き換える習慣がある」と解説する。

 加えて▽和語は本来の数え方が「よ」であるため、「よん」が「よ」になりやすい▽「四畳半」「四次元」「4時限目」など濁音の助数詞が付くと「よん」の「ん」がとれやすい―と説明する。打順も濁音の「番」が付く。

 その上で野球では「『よばん』という言い方が、チーム最強打者を示す“固有名詞”になっている」と飯田教授は指摘する。

 往年の野球ファンにとって「よばん、サード」とくれば長嶋茂雄さんを思い浮かべる人も多いはず。いつから、どうして始まったか“決定打”は出なかったが、「よばん」でなければしっくりこないのは確かだ。

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