眼鏡の産地・鯖江市に職人学校を作った理由 職人魂のまちづくり【ゆるパブ】

日本を代表する眼鏡の産地・福井県鯖江市で眼鏡フレーム職人学校のパイロット事業をしている加藤裕之です。眼鏡の産地だから職人がいっぱいいるだろうに…と多くの人が思われるかもしれません。しかし、なぜ職人学校が必要だと思ったかを同事業の実行委員長の立場としてお話ししたいと思います。

「めがねのまち・さばえ」で、私の父も生前に永らく職人として勤めてきました。父は眼鏡枠を研磨する「磨き」の職人でした。磨きは50年以上前から基本的な作業スタイルに変化が無く、新入社員が1番定着せずに、技術の継承が困難と言われています。H28年度調べで450社程の眼鏡会社の中で私の見聞きしているところの特に磨きの職人さんは60才以上で80才を超える方々が少なくありません。そこで、現在の職人さんの高齢化を考えると継承の仕組みが待った無しの状態だと思い、眼鏡フレーム職人学校を作る為には何が必要なのかを確認したく、行政が進める市民主役事業(市民発案の事業を行政になり代わって行う仕組み)に応募させて頂き開講となりました。

アセテート(綿花を材料としたメガネフレーム作りに使われるプラスチック素材)の磨きの初歩を学んで頂くのですが、10月号の市の広報紙に掲載後1週間で定員に到達。5日間のプログラムで、今回の受講のために、ノートをとることで深い学びにしてもらえるよう専用の学習帳を用意して、プラスチックや使用する器具の名前、種類、眼鏡フレームの流通の仕組みの座学と、実践による荒磨き、仕上げ磨きを真剣に学んで頂きました。

磨きの実習は素手でメガネフレームを持ってバフ掛け(回転する円形上に重ねた布の束の縁にあてる)を行うのですが、荒バフから、仕上げバフまで手の汚れも厭わずひたすら磨き続けて頂きました。『めがねのまちさばえ』の職人魂を持った方々が受講者に懇切丁寧に指導し、今回の受講者は磨き以外の眼鏡産業に従事している方々でしたが、磨きは手間が掛かる為に、他の作業中に傷をつけた時の磨き直しの大変さを実感されていました。その中で気付いたことがあります。技術をマニュアルに落とし込むことができないから教えることが難しいのだと思っていたのですが、そうではなかったのです。5日間で1万円を支払い、夜の7時から9時まで学びたいと考えている人が居るのに、習得する機会や、場所がなかなか無いことが問題だと感じました。

12月15日に、第1期生5名の卒講式が行われました。「早速、会社で、極一部ですが先セル(メガネの耳に当てるパーツ)の仕上げ磨きをさせて頂けるようになり仕事の幅が広がって嬉しかった」「次回からはスタッフとして一緒にお手伝いさせてください」「他の部分の眼鏡作りの仕事も経験したい」。受講者からうれしい言葉があふれました。

前向きなご意見を多数頂き、潜在需要の高さを感じると共に、この眼鏡フレーム職人学校が本格的になった際には職人さんが『講師』と言う肩書きを持つ事も出来るようになり、私のおじいちゃんは眼鏡フレーム職人学校の先生をしているんだよと、子どもたちにも更に眼鏡業界を誇りに思って頂きたいです。それが『職人魂のまちづくり』にもつながると感じましたので、本格的に眼鏡フレーム職人学校の開設に向けて様々な方々のお知恵を拝借しながら進めていきたいと考えております。

【第2回目のご案内】

第2回の講座は、障がいをお持ちの方々にも積極的に参加して頂きたいと考えており、2月17日、24日、3月3日、10日、17日、全て木曜日の19時〜21時、場所はプラスジャックさんになります。さばえ広報(鯖江市の広報紙)1月25日発行2月号に、申し込み記事とQRコードの掲載予定です。

市外の方は鯖江市のHPから1月25日頃に『広報さばえ2月号』を検索して頂き、後半の「Information 情報ガイド」のページに掲載されていますので、ご確認ください。

 ×  ×  ×

コラムに対するみなさんのコメントや「私もコラムを書きたい」という声はFacebookで受け付けています。

 ⇒ゆるパブリックの公式サイト

【ゆるパブコラム】福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などがゆるくつながり活動する一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。ゆるパブメンバーを中心に執筆中。