地蔵に変装して区内を走る児童ら=12月12日、福井県敦賀市赤崎

 福井県敦賀市赤崎区で室町時代から続くとされる伝統の奇祭「山の神講(かんこ)」が12月12日、行われた。上半身裸の小学生男児3人が、冬の寒さに負けじと元気に区内を駆け抜け、山の神にお供え物を届けた。

 山の神講は、妖怪ヌエが昔、集落の田畑を荒らし、村人が神仏に祈り退治した伝説に由来する。区内の小学生男児が“使者”となって、当番宅の「講宿(こうやど)」から山際の大日如来を祭る大日堂まで走り、お供え物を届けるのが習わし。

⇒伝承のカッパ銅印、文字の謎解明

 講宿は新築や改築したばかりの区民宅が選ばれ、今年は男性(68)宅が務めた。大将を務める川口聖人君(角鹿小学校6年生)ら男児3人が集まり、まずは「力めし」と呼ばれるおにぎりを食べて腹ごしらえ。川口君は腰にしめ縄を巻いて、すりつぶした米とお神酒を混ぜたお供え物「しとぎ」を持ち、他の2人もわらを三つ編みにした「つと」を持って出発した。男子中学生ら4人も応援で一緒に走った。

 男児たちは「やーまのかんこのまーつりやい」「そーりゃ、なーんのまーつりやい」と声を張り上げ、約800メートル離れた大日堂まで疾走。お供えと参拝を済ませると、ヌエからいたずらされないように「しとぎ」を顔や体に塗り、地蔵に変装して帰路に就いた。

 沿道では区民が「頑張れ」と声援を送りながら力走を見守っていた。川口君は「最初は寒かったけど、走っているうちに体が温まった。みんなで完走できて良かった」と喜んでいた。