会見で生産拠点などの譲渡を決めた経緯などを説明する小林化工の田中宏明社長=12月3日、福井県あわら市矢地の同社

会見で生産拠点などの譲渡を決めた経緯などを説明する小林化工の田中宏明社長=12月3日、福井県あわら市矢地の同社

 福井県あわら市のジェネリック医薬品(後発薬)メーカー小林化工は、製造を再開することなくサワイグループホールディングス(HD)=本社大阪府大阪市=に製造拠点や従業員を譲り渡すことになった。製造する医薬品に睡眠導入剤成分が混入し、多数の健康被害が判明して12月4日で1年。3日に会見した小林化工の田中宏明社長は「再生への道のりは遠く、現状の体制を維持するのは困難と判断した。従業員の雇用は守らなくては」と、自力再建を断念した胸中を語った。

⇒睡眠剤混入の小林化工が資産譲渡を発表

 同社は2021年5月、福井県に提出した業務改善計画に基づき経営陣を刷新し、法令順守の組織づくりや教育訓練、製造・管理体制の構築などを進めてきた。田中社長は「目標として1年後の再開を掲げていた」と明かす。ただ、国の承認書と齟齬がある製品の解消など多数の問題があり「解決には手間も時間もかかる。まとめて効率的に改善するのは難しく、その中でサワイグループHDから提案があった」とした。

 資産譲渡の背景にあるのは、小林化工をはじめ後発薬メーカーで相次いだ法令違反などの不祥事と、それに伴う供給不安だ。同日会見したサワイグループHDの澤井光郎会長は、今回の決定について「(小林化工は)製造設備だけでなく、医薬品製造に関わる人材の双方がそろうことが大きなポイント」と語った。

 小林化工は譲渡金を原資に今後、被害者補償や、流通する全ての自社製品の自主回収に当たる。補償は大半が終わっているとし、業務は縮小していく見通しだ。

 「市場を混乱させたことの解決のために社長を受けたが、忸怩(じくじ)たる思いがある」と田中社長。ただ、社員一人一人と面談しながら進めた改善活動には胸を張る。「サワイの製剤を作るに足ると判断されたと認識している。改めてあわらの地で医薬品の製造が行われ、雇用が確保される」と力を込めた。

 【小林化工の法令違反】2020年12月、製造する医薬品への睡眠剤混入による健康被害が発覚した。服用した245人から健康被害の報告があり、2人が死亡した。福井県や厚生労働省の立ち入り調査があり、製造・品質管理などで多数の法令違反が判明。県から2021年2月9日、製薬会社への行政処分としては過去最長となる116日間の業務停止命令と業務改善命令を受けた。その後、医薬品の承認申請書類の虚偽記載なども明らかになり4月、厚労省から12製品の承認取り消しと業務改善命令を受けた。