足羽川ダムの建設地。高さ96m、堤頂の長さ351mの堤体を造る=2020年10月、福井県池田町千代谷

 国が福井県池田町で建設している足羽川ダムの水海川導水トンネル工事で、専門家から工法などの指導を受ける技術検討委員会が11月30日、現地の安藤・間大阪支店トンネル作業所であった。地盤が軟弱な活断層の影響領域が想定より広いことが判明。岩盤を支える鋼製の枠「支保工(しほこう)」の強度を高める施工案を国が提案し、了承された。

 導水トンネルは、洪水時に水海川からダム本体へ雨水を流すのが役割。

 施工領域には、断層運動によって岩石が破砕して形成された破砕帯(温見断層)が横たわっている。1分当たり最大11立方メートルの水が湧き出す突発湧水が推定され、対策なしで断層に到達した場合、大量の湧水によるトンネルの崩壊が懸念されるという。掘削開始地点から3キロ付近に広がる温見断層に近づいたため、掘削を一時停止し、9月からボーリングを行い地盤の性状などを調べていた。

 調査の結果、温見断層本体と断層の影響を受ける領域は220メートル以上あることが分かった。良好な岩盤が断層作用で破砕したと想定していたが、実際には元々破砕した溶岩が不規則に含まれ、その部分がさらに断層作用を受けて軟弱な岩盤になったと結論付けた。

 断層手前で掘削を停止したはずだったが、実際には既に断層影響領域内に入っていると判断。現在行っている最弱の地盤に使う支保工による施工を今後も継続することを決めた。ボーリングによって突発湧水の有無や詳細な地質を確認してから掘削に着手する手法を繰り返し、安全を確保しながら前進する。突発湧水の可能性が確認された場合は、切羽前方の水抜きを行いながら断層を突破する。

 技術検討委員会は昨年10月に設置され、東京都立大都市環境学部の砂金(いさご)伸治教授(トンネル工学、岩盤力学)を委員長に専門家5人で構成。会合は冒頭のみ公開され、国土交通省足羽川ダム工事事務所の櫻井寿之所長は「想定した地質条件よりも悪い脆弱(ぜいじゃく)な区間が続いている」と説明した。委員は現場視察も行い、砂金委員長は「難しい状況をイメージできた」と述べた。

 掘削工事は2017年7月に開始した。地盤が想定よりもろく1年以上遅れている。10月末時点で2953メートルまで掘削が進み、進捗率は63%。