「明日のハナコ」などが収録された福井県高校演劇祭の脚本集

 9月に福井市で開かれた福井県高校演劇祭で一部の表現が問題視され、映像化が見送られていた福井農林高校の上演作品が関係者限定のサイトで公開されることが11月29日、県高校文化連盟演劇部会への取材で分かった。12月9日、県内の演劇部の生徒や顧問を対象に表現の自由や人権を学ぶ研修会を開催する。

 県高文連演劇部会は「劇中の差別的な表現で生徒が非難される恐れがあると考え、映像化を見送る形になったが、われわれ運営側も含めて研修で認識を深めた上で作品を公開する」としている。脚本集も研修後、顧問を通じて各校の演劇部の生徒に配布する予定。

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 同校の演劇「明日のハナコ」は、福井農林高の元演劇部顧問の玉村徹さん(福井市)が台本を執筆した。玉村さんは「表現の自由の抑圧につながる」などと決定の撤回を求め、インターネットで署名活動を展開。活動は会員制交流サイト(SNS)で反響を呼び、署名は1万人を超えている。

 こうした事態を受けて県高文連演劇部会が開く研修会では、地歴・公民科の教諭が講義するほか、県内大学の教員がアドバイザーを務める。研修会後、参加者らは限定サイトで上演作品を閲覧できる。

 玉村さんや劇作家・鈴江俊郎さんらでつくる「明日のハナコ」上演実行委員会は、12月12日午後2時と、同19日午後1時から福井市のフェニックス・プラザで上演会を開く。玉村さんと鈴江さんが出演する。弁護士や研究者を招き、差別表現や原発について考える学習会も予定している。

福井農林高演劇部の上演作品「明日のハナコ」

 福井地震や東日本大震災、県内の原発を巡る歴史をたどりながら、少女2人の成長を描いている。県高校文化連盟演劇部会主催の県高校演劇祭で福井農林高演劇部が上演した。元敦賀市長の言葉として、原発誘致を主張する中で身体障害者への差別表現が使われる場面がある。放送を予定していた福井ケーブルテレビから指摘があり、県内高校演劇部の顧問会議が対応を協議。演じた生徒らが批判、中傷を受ける懸念があるとして、同作品の放送や限定サイトでの公開が見送られた。