連覇を記念したキービジュアル((c)『千歳くんはラムネ瓶のなか』著:裕夢 イラスト:raemz 小学館「ガガガ文庫」刊)

 福井県福井市出身の作家、裕夢(ひろむ)さん(34)デビュー作のライトノベル「千歳(ちとせ)くんはラムネ瓶のなか」(小学館ガガガ文庫)が、11月25日発売の「このライトノベルがすごい!」(宝島社)2022版で2年連続文庫部門の1位に選ばれた。昨年は1―3巻、今年は4-6巻が対象。デビュー作での連覇は初の快挙で「熱く生きている人を応援したいと思って書いた作品。多くの人に届いていてうれしい」と喜び、「チラムネ」の愛称で支持を広げる同作品について語った。

 「チラムネ」は、福井を舞台にした青春ラブコメで「藤志(ふじ)高校」のトップカーストに君臨する千歳朔と、彼を取り巻くヒロインらの友情や恋愛、悩みを描いた作品。特に心情描写が共感を集めている。読者は中高生が中心で、ライトノベルでは珍しく女性ファンが多いという。コミカライズ版やオーディオブックなども展開し、台湾をはじめ海外でも人気を博している。

⇒【写真】「チラムネ」の作家、裕夢さん

 裕夢さんはモチーフについて「一度きりの青春時代に熱くなることはかっこいいと言いたいし、頑張っている人を肯定したくて書いている」と話す。近年SNSなどで、目立つ人や夢を追う人の足を引っ張るような風潮は嫌だとし「自分のそうした思いが若い人たちに支持されたのかも」と人気を自己分析する。

 執筆は「創作活動というより、登場人物の彼、彼女が動いて物語を作っており、それを後ろから見ていて文章化する感じ」と表現する。育った環境の違いが考え方やポリシーなどの人となりになるとして「その違いがおもしろい」と、執筆で大切にしているポイントに挙げる。

 「この―」では、ウェブアンケートなどで集計しランキングを決める。裕夢さんはraemz(レームズ)さんが担当するイラストの魅力も大きいとして「編集者も含め、携わっている人間が誰一人欠けても、連覇は果たせなかった」と口にする。

 故郷福井を舞台にした作品が人気になり「福井の人が当たり前に思っている、自分たちが住むまちの良さを考えるきっかけになるとうれしい」。実在スポットや店も多く作中に登場、ファンの聖地巡礼も盛り上がっており「地元企業や自治体とタッグを組んで盛り上げられたら」と目標を口にしていた。