福井県立大学の学生に県産コシヒカリを手渡す杉本育さん(左)=11月24日、福井県永平寺町の同大永平寺キャンパス

 福井県立大学大学院生の杉本育(いく)さん(30)=福井市=が今年7月に立ち上げた一般財団法人「杉本育文化財団」が、新型コロナウイルス禍で困窮する大学生や家庭を支援しようと、学生やこども食堂にコメを無償提供している。財団は県内の芸術振興が目的だが、「芸術を楽しむ環境も生活があってこそ」と学生たちを励ましている。

 杉本さんは坂井市出身。東京の大学を卒業し中小企業を支援する仕事に就いたが、一昨年出産したことを機にUターンを考えた。今年3月に夫と子どもとともに東京から福井市に引っ越し、経営学を学び直そうと大学院に通っている。

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 昔から映画や絵画の鑑賞が趣味だったことに加え、新型コロナの影響で鑑賞の機会が減り、芸術を楽しめる環境やアーティストを守りたい思いが強まったことで、財団設立を決意。坂井市で自営業をしていた母の後押しもあり、県内の企業経営者らから賛同を得て活動を始めた。財団では理事長を務めている。

 杉本さんは「芸術を楽しめる環境をつくるには、生活を支えることも重要」と考え、県内の農家から買い取った1トンのコメを福井市内の大学やこども食堂に配布している。

 11月24日には3キロの米袋80個を用意し、永平寺町の福井県立大学・永平寺キャンパスに立った。大学から事前に配布を知らされた学生が昼休み中に次々に訪れると、杉本さんは「大変なこともあるかもしれないけれど頑張って」などと笑顔で声を掛けながら一人一人に手渡した。16日には福井大学に提供し、主に寮で暮らす県外出身の学生に配布されたという。

 今後、県内の文化施設の修繕やアーティストの活動支援など、文化や芸術の振興にも力を入れていくつもりだ。杉本さんは「映画を見たり美術館に行ったりすることが、私自身、子育ての息抜きになっている。福井の人にもっと芸術を楽しんでもらえるよう、必要な支援を考えたい」と話している。