宇宙飛行士応募資格の主な変更点

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月19日、宇宙飛行士の募集を12月20日に開始すると発表した。2008年の前回まで「理系の大学卒」としていた応募資格を撤廃し、学歴不問とするなど間口を広げた。応募方法はJAXAウェブサイトでエントリーシートなど必要な手続きを行う。受け付けは来年3月4日まで。書類選抜後、4回の選抜試験を経て23年3月ごろ、若干名が合格する見込み。「宇宙飛行士候補者 採用説明会 ~宇宙飛行士に、転職だ。~」を12月1日(水曜)午後8時からに、JAXA公式YouTubeチャンネルでライブ配信する(ライブ配信後はアーカイブ配信)。

 応募資格としていた「自然科学系の四年制大学卒業」「自然科学系の3年以上の実務経験」をやめ、21年度末の時点で3年以上の実務経験を有することのみとした。JAXAは詳細を明らかにしていないが、企業などでの勤務実績や大卒相当の教養を備えていることを求めているとみられる。

 宇宙船内で活動する関係から「身長158~190センチ」と制限してきたが、宇宙船の改良が進み「149・5~190・5センチ」と緩和。体重「50~95キロ」の制限も外した。視力、聴覚などの条件を満たせば、身体障害の有無も問わない。海への宇宙船着水を考慮して水泳の能力も資格としていたが撤廃し、選抜後に訓練を行うとした。

 7人いるJAXA飛行士は平均52歳。このままでは、月探査が活発化する30年には定年退職などで2人となってしまう。

 合格者は23年4月にJAXAに入社して訓練を受け、25年3月ごろ宇宙飛行士に認定される。

 飛行士募集は1983年以降、5回あった。前回の2008年は963人が応募し、パイロット出身の大西卓哉さんと油井亀美也さん、医師の金井宣茂さんが選抜された。倍率は約320倍。女性の応募者は1割ほどだったが、今回は3割程度を目指している。

宇宙飛行士の募集要項

 募集要項に記されている求めている人物像は以下の通り。

(1) 国際共同事業、多国籍なメンバーシップのチームの中において、日本の代表として、多様性を尊重しつつ、ミッションを成功に導くための協調性と十分なリーダーシップを発揮できる。

(2) 来たる国際宇宙探査ミッションを見据え、様々な環境に対しても適応能力があり、宇宙という極限環境での活動においても、柔軟な思考と着眼点を持ち、自らを律しつつ、適時的確な判断と行動ができる。

(3) ミッション参加により得た経験・体験・成果を世界中の人々と共有する

 評価する特性は以下の通り。

(1) 宇宙飛行士の職務に対して、明確な目的意識と達成意欲の強さ

(2) 宇宙飛行士に求められる任務・訓練に耐えうる健康状態

(3) STEM分野の知識や論理的思考力、円滑な意思の疎通が図れる英語能力とともに、教育や実務経験等の中で取り組んできたことにおける専門性

(4) ミッション遂行能力(自己管理、コミュニケーション、状況認識、リーダーシップ、問題解決、チームワーク、マルチタスク等)とともに、緊急事態にも迅速かつ的確に対処する能力

(5) 様々な業務環境及び技術や社会の急速な進歩・変化に適用するために、必要な身体能力及び精神心理的適応性・強靭性を有するとともに、未経験の知識や技量を速やかに習得する能力及び未経験の作業に対して自分の知識や技量を柔軟に活用して対応する能力

(6) 日本人としての誇りを持ち、人文科学・社会科学分野を含む広範な素養・知識を有し、並びに自分と異なる文化・伝統・価値観等を有する者に対する敬意を払う国際的なチームの一員にふさわしい態度

(7) 自らの体験や成果などを外部に伝える豊かな表現力と発信力

(8) 国内・国際社会で求められる高いコンプライアンス意識

宇宙飛行士の業務内容

(1) 訓練業務

選抜された宇宙飛行士候補者は、採用された後に以下のような訓練業務を行う。訓練には、航空機操縦訓練、ジェット機による無重力体感訓練、サバイバル訓練等、身体的にも厳しい項目が含まれる。

・ 宇宙飛行士候補者は、国内を中心に宇宙飛行士候補者訓練を受け、宇宙飛行士に必要となる科学・技術の知識、ISS/「きぼう」システムの概要等を学ぶ。また、英語、ロシア語も習得する。

・ 候補者訓練の修了後、これらの訓練結果の評価により、JAXA宇宙飛行士に認定される。

・ その後、ISS計画に参加する日本、米国、ロシア、欧州及びカナダの宇宙機関にてISSの各システム及びその操作技術等を学ぶ。また、ISS搭乗が決定すれば、ミッション遂行に必要なISS操作手順、実験操作手順等の訓練及び有人輸送機(米国商業宇宙船など)の操作訓練等を行う。

・ 米国が提案する国際宇宙探査(アルテミス計画)、有人輸送機(米国新型宇宙船)、ゲートウェイに関連した訓練を行う。

(2) 搭乗業務

選抜された宇宙飛行士候補者は、宇宙飛行士として認定され、かつ特定の搭乗業務に指名されれば以下のような業務を行う。宇宙船の搭乗をはじめ、宇宙での活動には、打上げ・飛行中・帰還時の事故、身体に対する様々な影響(微小重力や宇宙放射線等の影響)、スペースデブリ衝突などのリスクが伴う。

なお、宇宙飛行士候補者として選抜されても、訓練結果の評価や ISS やアルテミス計画の変更等により、宇宙飛行できない場合がある。
・ 有人輸送機(米国商業宇宙船など)への搭乗(※1)
・ 最長6ヶ月間程度のISSでの長期滞在
・ ISS及び「きぼう」システムの操作・保全
・ ISS及び「きぼう」を利用した様々な実験・研究(※2)
・ ISS及び「きぼう」船外での船外活動(※1)
・ 有人輸送機(米国新型宇宙船)への搭乗(※1)
・ ゲートウェイでの滞在(短期)
・ ゲートウェイの操作・保全
・ ゲートウェイを利用した様々な実験・研究(※2)
・ ゲートウェイ船外での船外活動(※1)
・ 月面着陸船への搭乗(※1)
・ 月面での滞在(短期)
・ 月面での実験・研究(※2)
・ 月面での船外活動(※1)

※1 各種宇宙船や船外活動時に着用する宇宙服サイズの制約から、担当する宇宙飛行士には身体的特性の条件があり、ご自身の身体的特性によってはミッションが制約される可能性がある。
※2 宇宙医学実験・研究、ライフサイエンス研究等にて、自分自身が被験者となる研究や手技を伴う動物を扱うミッションに参加する可能性がある。

(3) 技術業務
選抜された宇宙飛行士候補者は、前述の訓練及び搭乗業務の他に、以下のような技術業務を行う。
・ 宇宙飛行及び訓練で積み重ねた経験を活かした、専門的な研究活動、システム・実験機器の開発、飛行士育成や訓練開発支援等
・ 運用業務(宇宙飛行士との通信を行う交信担当、手順検証等)
・ マネージメント業務(業務管理・方針決定等の調整、新人飛行士・候補者の育成、チーム行動能力の向上等)

(4) アウトリーチ業務
選抜された宇宙飛行士候補者は、ISS 計画及び国際宇宙探査ミッション(ゲートウェイや月面での活動)をはじめ、宇宙開発に関わる普及啓発活動に従事し、積極的な参加が求められる。

採用説明会

 採用説明会のスケジュールは以下の通り。

12月1日(水)18:00~20:20(予定、変更可能性あり)

第1部 18:00-19:15

■オープニング

 JAXA理事・有人宇宙技術部門長の佐々木宏氏が新たな宇宙飛行士が活躍するこれからの宇宙探査時代について紹介。

■宇宙飛行士という職業

 JAXA宇宙飛行士の油井亀美也氏がこれまでの日本人宇宙飛行士の歩み、今回募集する新たな宇宙飛行士が活躍するフィールドとその業務内容について紹介。 

■新たな宇宙飛行士候補者の募集要項について

 募集要項の内容や選抜の流れなどについて、よくある質問への回答を含めて詳しく紹介。

第2部 19:15-20:20

■宇宙飛行士先輩トーク

 宇宙飛行士の山崎直子氏、JAXA宇宙飛行士の油井亀美也氏、大西卓哉氏、日本テレビアナウンサー弘竜太郎氏(モデレーター)がクロストーク形式で転職話や宇宙飛行士の仕事の魅力やリアルについてトーク。

■先輩Q&A

 ツイッターで寄せられた質問を宇宙飛行士が回答。
 
 ※質問はJAXA公式Twitterで事前に募集。(#宇宙飛行士に質問だ)