刊行された「認知症世界の歩き方」

 認知症の人は、どういうふうに周りを見てどう感じ、何に困っている? 認知症患者が体験するさまざまな実生活でのトラブルを、13の架空世界への旅に置き換え、具体例で対処法などを紹介した本「認知症世界の歩き方」がこのほど刊行された。著者で福井県福井市出身の慶応大学大学院特任教授、筧裕介さん(46)は「認知症は怖くない。正しく知って受け入れ、幸せに生きられると伝えたい」と話している。

 認知症になると▽通勤時に現在地や行き先を忘れる▽既に買った商品を何度も買ってくる▽家族や友人の顔を正しく認識できない-などのトラブルに見舞われる場合がある。そうした事例を▽目に焼き付けたはずの景色が記憶から消える「ホワイトアウト渓谷」▽村人の顔が見るたびに変化する「顔無し族の村」―など、13の架空世界への旅行記形式でまとめ、事例ごとに症状などを分かりやすく、認知証の人がどのように感じているかなどをまとめた。

⇒「認知症世界の歩き方」を著した筧裕介さん

 患者がそうした症例に対処しながら、認知症とともに生きるために必要な知識や心構えなどを、旅のガイドとして紹介している。

 筧さんは、認知症の人が生きやすい社会を目指す団体「認知症未来共創ハブ」の設立メンバーの一人。認知症患者約100人に聞いた話を元に「当事者を含め、誰もが分かりやすく」と、図表やイラストを多用した旅行記形式に落とし込んだ。

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 筧さんは「認知症は誰もが当事者になる可能性も、その介護者になる可能性もある。怖い病気と偏見を持たないでほしい」と話す。当事者や周囲の人、介護従事者などから反響があるといい「福井は三世代同居も多く、認知症が身近なのでは」と一読を呼びかけた。

 ライツ社刊、A5判、264ページ、2090円(税込み)。全国の書店で販売している。