猫の保護団体とEvaが共同で行った譲渡会の会場

動物愛護団体は、声なき動物たちを助ける善良な人たち、そう思う人が多いと思います。しかし、すべての愛護団体がそうであるとはかぎりません。ペットビジネスの闇については、事業者による虐待や不適正飼養がメディアでも取り上げられるようになり、少しずつ世に知られるようになりました。けれど、動物愛護団体には、それ以上に深い闇があると言えるかもしれません。

動物愛護団体の種類

実際、動物愛護団体による虐待などが、内部告発されることもあります。当協会Evaも、相談者からの通報で動物愛護団体を刑事告発したことがあります。そこで、よくこんな質問をいただきます。「寄附したいけど、どこにすればいいかわからない。信頼できる動物愛護団体を教えてほしい」と。現状を知れば、寄附に慎重になるのは当然です。良くない団体に寄附すれば、自分の善意が生かされないどころか、結果その罪に加担することになってしまいます。寄附は、その団体を支え応援することですから、責任が伴います。

しかし、善意の寄附を正しく有効に使ってくれる団体はどこなのか、全国に大小さまざまな形の動物愛護団体がありますから、見極めるのは意外と難しいようです。
私もEvaを立ち上げる前、個人では情報量が少なく、今ほど多くの知識と視点を持っていませんでしたから、個人で見極めるのは難しかったと思います。けれど今は、他の動物愛護団体との信頼関係を構築し連携を深め、動物問題に携わるさまざまな専門家とも情報交換しています。その経験が、優良な動物愛護団体を見極めるための判断基準を明確にしてくれました。皆さんの善意が有効に活用されるため、今回は、寄附先の団体を選ぶ時に、参考にしていただきたいことを書きます。

ここで、動物愛護団体について改めて整理しておきます。動物愛護団体は、大きく分けて2種類あります。

まず一つ目は、保護施設を設置し、一定頭数以上の動物の取り扱い(動物の譲渡、保管、貸出し、訓練、展示)を業として行う保護団体です。動物を取扱う保護団体は、「第2種動物取扱業」として行政への届け出を必要とします。ちなみに、これらの業に営利性を有する動物取扱業、ペットショップや繁殖業、動物の競りあっせんなどは「第1種動物取扱業」です。

そして二つ目は、Evaのように、動物を取り巻く問題を、根本から変えていくことを目的に活動している啓発団体です。事業者による動物の犠牲を生み出す負の連鎖を断ち切り、不幸な動物を生み出さない社会の実現を目指し、動物愛護管理法改正や事業者への規制強化などを視野に入れ、関連各所に対し提言やロビー活動、社会に向けて運動を行います。啓発団体にはそれぞれの得意分野と手法があり、それを生かしながら活動します。
たとえば、実験動物や畜産動物、展示動物の福祉について、企業や国に働きかけるのを得意とする団体もあります。そういう啓発団体は、そのジャンルについての深い知識を持ち、最新の情報を把握し、的確なタイミングで行動を起こします。Evaも、啓発の範囲は愛玩動物だけではなく、人間の飼育下にあるすべての動物が対象で、講演の際には、畜産動物や展示動物の問題から、それに関わる環境問題についても取り上げることがあります。

しかし現状、多くの時間と労力を費やしているのは、一般の方や動物保護団体からも相談を受ける動物虐待事案への対応です。その内容は、ペットショップや繁殖事業者の劣悪な飼育環境下のネグレクト。ネットに流れる動物虐待の映像。そして、一般飼い主や事業者に関係なく、各地で発生したさまざまな問題です。例えば、たくさんの猫が何ヶ月も無人の家に閉じ込められていて、ご飯や水も与えられてないようだから助けたい、という相談などもあります。しかし、警察や行政のような権限を持っていない民間団体ができることには限界があります。ですから、それらを動かすためにも、何が一番の解決策か検討し、考え得る限りの人に連絡をとり、必要であれば議員の力を借りることもあります。

動物を不幸にするケースも

さて、前出の「動物保護団体」の問題に触れたいと思います。動物を救い、幸せへの架け橋となるはずの団体であるのに、動物を幸せにしていないどころか、逆に苦しめているケースもあります。これにもいくつかのパターンがあり、「可哀想だから」「犬猫を引き取って欲しいと頼まれて断れないから」と、悪気なく受け入れ、保護団体が収容スペースや人手が足りなくなって追いつめられた結果、多頭飼育崩壊寸前のようになるパターンです。
しかし、もっと問題なのは、多くの動物をレスキューすることで注目を集めようとする団体です。大規模なものや、テレビなどで取り上げられ話題になった動物虐待案件に関わるレスキューには、賞賛が集まります。賞賛は、ダイレクトに寄附に繋がるため、適正飼養できるキャパを超えても動物を引き取る団体があります。また、とても難しい案件について、事実とは異なる活動や結果をSNSで発信し、それを信じている人々から賞賛を浴びたら終わり。問題は放置されたまま、ということもあります。現状の法律や制度の中では、動物問題を解決する時、困難になる障害がいくつもあるため、神わざのように迅速に解決することなどありません。

他にも寄附金を募っているにも関わらず、収支報告を公開していない団体もあります。その団体を応援したいと寄附して下さる方々に対し、透明性を高め情報公開していくことは基本中の基本です。また謳い文句として「殺処分ゼロ」はよく使われます。行政が殺処分ゼロを継続しているのは、自分たちがセンターから救っているから。殺処分ゼロ継続のために寄附をお願いします、というアプローチです。ゼロのためには、どんな難しい野犬でも引き取ります。結果、公開している施設は福祉に配慮するが、人目に触れさせない犬舎では過密飼育。動物の管理がずさんになり、医療的ケアも行き届かない。そして、犬たちはストレスからケンカ。犬舎で弱い犬が咬み殺されてしまうなど、ある意味、殺処分より酷い死に方をさせてしまうケースもありました。

また、行政の施設から譲り受けては、無責任に横流しをし、保護数のカウントを稼ぐ団体もあります。数は賞賛に繋がり、賞賛は寄附に繋がる。これらを実感しているから、保護の質や動物の幸せよりも、常に数を追い求め、ただ命を救えばいいという、動物福祉を無視した活動になる傾向があります。しかし、これでは本当の意味で救うことになっていません。動物保護団体に、これらの問題がありがちなのは、保護された直後の痛々しい可哀想な動物のアピールが大きな影響力を持つからです。また、殺処分から救われた犬が人のために活躍する美談も人々は大好きです。ドラマティックな宣伝広告をすることで、人の心情に訴えます。それらに心を痛めた人や感動した人が、寄附をしてくれるという、人の心理傾向があるからでしょう。それがゆえにこうした団体は、これらの心理を巧みに操ることが上手いのです。
もちろん、寄附を集めなければ運営や活動もできないので、寄附を正しく使うなら、集めるために工夫を凝らすことはなんの問題もありません。実際、動物たちは傷ついていることも多く、それらの事実を過剰な演出や嘘を加えず、問題提起するためにも、ありのまま伝えることは重要です。

善良な団体の姿

しかし長年、私が見てきた印象では、誠実に活動をし、丁寧な譲渡をしている団体ほど、それらのアピールは巧みではありません。そもそも今いる保護動物のお世話や、これから里親になる方のお宅訪問による飼育環境のチェック、正式譲渡までのやり取りや動物のお届け、日々寄せられる保護依頼の相談と捕獲。そして不妊・去勢手術、ワクチン、治療による通院など、朝から晩まで走り回っています。本当に頭が下がる働きぶりです。ですから、全力で真摯に活動している保護団体は、時間と労力をPRに割くことがなかなかできません。少なくとも、当協会Evaが信頼し、お付き合いのある団体はそうです。

時間や労力が捻出できなければ、お金を使ってあらゆる媒体に広告を打つこともできますが、残念ながら、寄附文化が育っていない日本では、広告費を使ってPRできるほど、潤沢な資金のある誠実な保護団体は存在しません。頻繁にYouTubeなどでPRし、視聴回数を稼げれば収入になるのでしょうが、やはり時間と労力に余裕がないと思います。しかし、ある程度の長い期間、誠実にやってきた保護団体は、特別大きな収入を求めて労力を使うのではなく、一定の支援者がいて、その方たちから信頼されるような丁寧な活動に力を注いでいます。そうして、支援者との信頼関係の中でなんとか運営しているのだと思います。私も微力ながら、自分のできる範囲で、誠実な保護団体に個人的に寄附しています。

募金活動に感じる疑問点

次に問題視するのは、募金活動のやり方です。
最近では、土日になると犬連れで、駅のロータリーで募金活動をしていた保護団体が、しつけと称して動物をたたき、動物虐待で告発され、家宅捜査が入りました。
駅のロータリーで募金活動をしている団体を私も時々見かけますが、調べてみるとそのほとんどは問題ある団体です。その中には、保護とセラピーを売りにしている団体もありました。そういった団体の背景を見ていくと、ペット販売事業者の傘下にある団体だとわかることがあります。立派な純血種をつれて募金していることから窺えるのは、販売事業で売れ残った犬を保護犬として募金活動に連れ回したり、セラピー犬だと言って貸し出すのだと思います。募金を募って立っているのはアルバイトの若い子で、何も分からず募金を集めています。若い女性が可愛い犬を連れていると、客寄せとなる動物に、狙い通り安心して人は寄ってきます。そして、しばらく犬と戯れたら、募金して去っていくのです。おそらく、少しいいことをしたような気分になるのでしょうが、その善意はまったく生かされません。その光景は、ペットショップの展示販売と似ているように思います。「可愛い」でお客を引き寄せ、抱っこさせて購入に繋げる。一方、「可愛い」で通りがかりの人を引き寄せ、「可哀想」で寄附に繋げる。本質は同じです。

聞くところによると、数カ所でこのような募金活動をすれば、1日80万円くらい集まるそうです。
このような募金活動は昔からあるのですが、動物愛護の機運が高まり、保護犬や保護猫という言葉も浸透した今、保護動物に大きな注目が集まるようになり、その額も増しているのかもしれません。皆さんには、そもそも駅前の喧騒の中、犬連れの募金活動に同行させられる犬の負担について、気づいてほしいと思います。目の前の可愛い犬に気持ちが動き、「可哀想なこの子が救えるのなら…」ではなく、犬に負担を強いる団体に、疑問の目を向けてほしいのです。保護団体が守るべき基本中の基本、それが「動物福祉」です。
また、問題ある団体の多くは、人に対しても扱いがぞんざいです。表向きは、身を削りながら必死に活動しているというドラマを作り上げます。しかし内情は、ボランティアへの恫喝、犬も人も、代表が怖くて委縮していることもあります。

「下請け保護団体」の問題

とにかく、多種多様な問題を抱えている第2種動物取扱業の動物保護ですが、今後、もっとも注意していただきたいのは、ペット業界の「下請け保護団体」の問題です。これは、かなり闇が深くて、一般にはなかなか見えづらい問題です。
下請け保護団体とは、ペット業界と助けたり助けられたりの、持ちつ持たれつの関係で成り立っている団体のことです。その橋渡しをしているのが、某大手ペットオークションの会社です。ペットオークション会場で売れなかった犬猫を、買い付けに来る保護団体もあるそうです。また、管理の悪い繁殖屋に訪問し、セレブが好きそうな犬種をそこから選んで持っていくという話も聞いたことがあります。まるで仕入れです。不要になった繁殖犬を引き取るだけの団体も。さらには、オークション事業者から資金提供を受け、施設や病院を作り、その傘下で活動している団体もあります。繁殖業者が崩壊すると、オークション業者からの依頼で現場に入り、レスキューと称して無償で動物を入手します。そして、「こんな酷いことが、、、」「可哀想に、、、」とブログなどで発信し活動をアピール。そのような保護団体の里親会には、かなりリッチな人にしか飼育できない犬種がいることもあるようです。

問題は、下請け保護団体も、実際に保護動物を抱え、里親に譲渡し、命を繋いでいることから、その正体が一般の人には分かりづらいことです。特に、そこからの縁で里親になった人や、SNSで活動の表面だけを見て応援している人にとっては、素敵な出会いを繋いでもらったことへの感謝や、「命を救い幸せにしている」という、目の前の事実がすべてで、全体像を俯瞰から見られないため、盲信的になりがちです。

もちろん、目の前の命を救うことは尊くて大切なことです。この活動に携わる人は、誰もが必死に力を尽くすはずです。と同時に「目の前の命を救う」というその背景の「悪徳繁殖業者を支えている」という、見たくない認めたくない事実も、しっかり直視すべきです。こう言うと「じゃ業者のもとにいた犬猫は見捨てるのか?助けないで見殺しにするのか?」とお怒りになる方もいます。そうではありません。これまで劣悪な繁殖場で苦痛を強いられ生きてきた犬猫には、何よりも手厚い医療と保護が必要です。ですが、悪徳繁殖業者が儲けのため増やした犬猫を都合よく受け入れ、事業者支援をしている限り、第2、第3の被害犬猫がエンドレスで産まされ続け、悪徳ビジネスの継続に繋がってしまうのです。

私たちEvaが、これを強く問題視するのは、前々回のコラムにも書いた、長野県松本市で起こった事件を繰り返させないためです。悪徳繁殖業者による悪魔の所業のような虐待やネグレクト。その要因となっている命の大量生産・大量流通を終わらせるため、諸悪の根源を断つことです。そうでなければ、どんなに法改正や省令制定で規制を厳しくしても、繁殖引退犬猫や、疾患を持っていたり奇形で売れない子の受け入れ先があるのですから、事業者は今まで通り、安心して大量に繁殖させ、何も変える必要がないのです。そうなれば、ペットショップで虐待的繁殖により生まれた子の飼い主になる消費者や、下請け保護団体から引き取る里親が、その子を育てるための費用や疾患の治療費の肩代わりをするようなものです。
もし、悪徳繁殖業者から酷い状態の犬猫をレスキューしたら「なんでこんなことが起きるのか!?」「なんでこんな状態にした事業者がのうのうと営業を許可され続けているのか!?」と、真に動物を救いたいと思う団体なら、そのことに疑問と怒りの矛先を向け、解決の道筋を見出すことに尽力するでしょう。しかし、下請け保護団体は、繁殖業者の改善や業の取り消し処分という、根本的な問題には言及しません。そして、悪徳繁殖の温床となっているペットオークションについても、存在していてくれるほうが都合がよいのでしょうか、そこを批判することもありません。そして、根本的な問題を問われたら、「だってこの子たちを救わないと可哀想じゃない?」「目の前の命を放っておけないでしょ?」そんな感傷的な言葉で、すべてを煙に巻いてしまいます。

このように、動物愛護団体の問題は根深いものがあります。このような実態を明かすと、オークション事業者とぐるになって、下請け愛護団体から事実と異なる謂れのない猛攻撃を受けます。けれど、私は知っていながら知らないふりはできません。なぜなら、ペット業界の犠牲となり苦しむ動物たちの悲劇を本気で終わらせたいと思うから。そして、共に同じ志で、人生の多くの時間を捧げ、苦しい現状にも弱音を吐かず、自己犠牲など売りにしない、真の保護団体を応援したいからです。
皆さんの温かい善意を、そんな保護団体に届けていただけるよう、心から願っています。(杉本彩)

※Eva公式ホームページやYoutubeのEvaチャンネルでも、さまざまな動物の話題を紹介しています。

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 杉本彩さんと動物環境・福祉協会Evaのスタッフによるコラム。犬や猫などペットを巡る環境に加え、展示動物や産業動物などの問題に迫ります。動物福祉の視点から人と動物が幸せに共生できる社会の実現について考えます。