練習に汗を流す丹生高校の男子ホッケー部。国体は中止となったが、全国選抜大会で高校2冠を目指す=福井県の越前町営朝日総合運動場

 新型コロナウイルスの影響で2020年春以降、全国大会だけでなく、地域のスポーツ大会や芸術・文化の催しの多くが中止を余儀なくされた。福井県によると、福井市の福井運動公園(陸上競技場、体育館、野球場、水泳場、テニス場)で2020年度に予定されていた222大会のうち約7割の157大会が中止に。2021年度も9月までに3割超がなくなった。関係者は練習の成果を発揮する機会や場所を守ろうと、ウィズコロナでの開催方法を模索している。

 流行「第5波」まっただ中の8月下旬。全国高校総合体育大会(インターハイ)で優勝を果たした丹生高校男子ホッケー部の為国壮監督(42)は、部員たちを集め、国体の中止を伝えた。国体、年末の全国選抜大会と合わせた3冠を狙い、予選に臨む矢先だった。

 戦わずして道が閉ざされ、戸田貴仁主将(18)は「言葉にならなかった」と悔しさをにじませた。昨年はインターハイも国体も中止となり、選手たちは活躍の場を切望している。「3冠はできなかったけれど、どこのチームもはね返せる強いチームになって2冠を果たしたい」。再び前を向き、10月末の全国選抜大会予選に向け汗を流す。

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 各大会の主催者もコロナに翻弄された。福井県バドミントン協会大会事業部長の近葉裕子さん(57)=福井市=は「誰も答えが分からないから、開催するかどうかの判断に悩んだ」と、この1年半を振り返る。

 同協会は昨夏、福井県の警報発令時は大会を中止とすると決めた。「感染者が出たら、競技自体のイメージを悪くしてしまう」と近葉さん。開催できても、大会後は(感染有無の目安となる)2週間が経過するまで心配な日々が続いた。

 東京五輪のような大規模な感染対策は費用、人員面で不可能だが、県内の各団体は、それぞれの競技に合わせた対策指針を整備し、大会開催の実績を重ねてきた。自身もプレーする近葉さんは「運営、選手の両方の気持ちが分かるから大変。自分たちのできる限りの対策をして、みんなの楽しめる場をつくっていきたい」と力を込めた。

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 アマチュアフルオーケストラ「福井交響楽団」は、今年5月に2年ぶりの定期演奏会を開催した。「団員たちは生き生きと演奏して、観客も感動してくれた」と、尾鳥達彦団長(64)=鯖江市。練習では科学的知見などを基に飛沫が飛ぶ管楽器の奏者は間隔を空け、弦楽器奏者はマスクを着用して感染防止に努め、本番を迎えた。「上手にコロナと付き合っていくことが大事だ」と強調した。

 一方、福井市内で年末に市民らが「第九」を歌う催しは、2年連続の中止が決まった。「ふくい第九を歌う会」事務局の宮下一夫さん(69)=福井市=は「いったん途切れると、福井の合唱文化が廃れてしまう」と危機感を募らせる。

 第5波が落ち着き、衆院選では与野党とも経済対策の声が大きい。尾鳥団長は「経済を回すことも大事だが、スポーツや文化は人間の心を豊かにする。どう守っていくかを考えていかなければならない」と訴える。

【D刊に記者の取材後記】悲しむ姿は、もう見たくない

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 衆院選が10月19日に公示された。地域が直面する課題と未来へ求められるものを、福井の現場から探る。

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