ラジオ番組でリスナーの悩みに答える花華院さん=福井県鯖江市本町2丁目の「さばえ夢スタジオ」

 2020年の民間企業による全国調査では、LGBTQ(性的少数者)に該当する人は全体の8・9%。外国人を含めたマイノリティーの人たちは、社会をどう見つめ、何を思っているのだろうか。「マイノリティーの課題は票にならない」(福井県内の選挙関係者)と言われるが、福井の当事者たちは「性を打ち明けられる社会を」「意思疎通ができる通訳を増やして」と、共生社会の実現に向け声を上げる。

 「岸田内閣では女性3人が閣僚に入りましたが、どうでしょうか?」。月1回出演している「たんなんFM」で、司会者から意見を求められたゲイ(男性の同性愛者)の花華院姫子さん(52)=芸名、福井県福井市=は「女性の割合じゃなくて、(大事なのは)仕事の内容。男とか女とか言うこと自体、ジェンダーフリーじゃない」。

 20代から女装をしてショーを披露する「ドラァグクイーン」として活動してきた。2009年、福井市の「片町」でバーを開いた。店では当事者やその親から相談を受けたり、教員から生徒の性に関する悩みを打ち明けられたりした。

 「近年はカミングアウトという言葉がもてはやされた。自分はオープンだが、(保守的な)福井では、告白すると大変な面もある。いじめにもつながる」

 国会ではLGBTQに関する法案提出の動きがあるが、「区別が差別につながるのでは」という当事者の不安の声も上がる。ゲイでユーチューバーのかずえちゃん(38)=福井市=は「少数派だからこそ、社会にもっと認知してもらう必要がある。性を表明するかどうかは個人の問題だが、自分の性を打ち明けられない社会は、やっぱりおかしい」。

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 増え続ける外国人との共生も課題だ。福井県によると、県内の外国人居住者は1万5713人(2020年末時点)。このうち4904人を占める越前市では、7割超がブラジル人だ。

 小学生の娘2人を育てる同市のミシュリ・カズミ・プラッドさん(38)は、18年に来日。夫と同じ工場で働く。昼夜シフト制の勤務形態だから、家族で学校行事に参加したり出掛けたりすることはめったにない。日本語はほとんど理解できず、「他に働く場所がない。パートで働けると子育ても助かるのに」と語る。

 新型コロナウイルスの情報を得るのにも苦労する。頼りはSNSのみ。「正しい情報か確認するため、いろいろなところから情報を寄せ集めて判断している」

 福井県は20年度から、外国人が安心して暮らせる環境づくりに向け「外国人コミュニティーリーダー」制度を立ち上げた。15の国・地域出身の52人が務め、地域と行政の橋渡し役を担う。

 その一人、06年から越前市で牧師として活動する河野・セイジ・カルロスさん(57)は週2回ほど、フェイスブックで県内外の感染状況などをポルトガル語に訳し、約1900人のフォロワーに発信している。

 河野さんは通訳者の少なさを課題に挙げ「特に問題なのは病院。通訳者が、リモートで医師に説明できるようなシステムを構築してほしい。みんな同じ税金を払っているんだから」と訴えた。

【記者の取材後記】カテゴリー自体ない社会を

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 衆院選が10月19日に公示された。地域が直面する課題と未来へ求められるものを、福井の現場から探る。

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