福井県感染拡大警報が解除された金曜夜の繁華街、片町。客はまばらで、かつてのにぎわいはなかなか戻らない=10月15日午後7時35分ごろ、福井市春山1丁目

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大きな打撃を受けている業種の一つが飲食業だ。東京商工リサーチ福井支店によると、これまでの福井県内企業の新型コロナ関連倒産20件のうち、業種別では飲食業が最多6件。各飲食店の資金繰りは厳しさを増しており、2020年度の融資額はコロナ禍前に比べ約9倍に達した。食材価格も上昇し追い打ちを掛ける。「本当に困っている事業者にこそ支援を」と訴える声が出ている。

 福井県感染拡大警報が解除された10月15日の通称「片町」。金曜夜ながら通りを歩く客はまばらのままだった。「予約はぼちぼちと入ってきたが…。コロナ禍前の金・土曜は予約で満席だったのに、忙しい感覚を忘れそうだ」。日本料理店「季寄片町店」を営む川口泰弘社長は肩を落とす。

 この1年半余り、片町は飲食店のクラスター(感染者集団)が発生したり、県独自の緊急事態宣言が出されたりするたび、訪れる客が激減した。季寄片町店も、売上高はコロナ禍前の半分以下が続いている。

 全面解除により、県民行動指針は会食4人以下の制限もなくなった。ただ「コロナ禍の自粛で『飲み会は3~4人』が習慣化されたのではないか」と川口社長。企業の接待利用などが回復しないと、にぎわいは戻らないと感じている。

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 コロナ禍による外出自粛の影響で飲食店の資金繰りは厳しく、民間金融機関の融資も急増した。県信用保証協会によると、飲食業への融資額に相当する保証承諾額は2019年度が181件、10億7900万円だったのに対し、コロナ下の20年度は1129件、96億6500万円に上った。

 「運転資金用途で初めて借りたが、すぐに使い切ってしまった」とは、県内で焼き肉店や居酒屋を展開する40代社長。営業努力を重ねても、売上高はコロナ禍前の4~7割で推移。ただ、国や県の給付金などの受給要件の売り上げ減少率に満たないことが多く、厳しい資金繰りが続く。

 事業拡大目的ではないため追加融資もためらう。「行政の支援範囲に“隙間”がある感じだ。本当に困っている事業者の現状を把握してほしい」と訴える。

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 足元の動向は、県の「ふくいdeお得キャンペーン」で予約が増えつつあり、国の観光支援事業「Go To トラベル」再開への期待もある。ただ、福井市内で居酒屋などを展開する「ぼんたグループ」の齋藤敏幸社長は「県内の飲食店は財務的に今が最も苦しい」と吐露する。

 齋藤社長によると、都市圏の飲食店は緊急事態宣言下の営業時間短縮の協力金受給などで65%が黒字との民間調査結果が出たという。「福井の飲食店は真面目に営業努力しているがゆえに赤字続き。ゆがんでいる」と厳しい口調で語る。

 さらに追い打ちを掛けるのが食材価格の上昇だ。米国や中国の経済回復に伴い、肉類や食用油などの需給が逼迫(ひっぱく)し軒並み値上がりしている。40代社長は「今月から輸入牛肉価格が2割上がり、かなりの痛手。もし感染第6波でコロナ禍が続くと、県内飲食店の倒産が激増する恐れがある」と危機感をあらわにした。

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