エキノコックスの感染経路

 愛知県の知多半島では近年、人体に入ると重い肝機能障害を引き起こす寄生虫「エキノコックス」の感染確認が相次いでいる。これまでに北海道での定着が確認されていたが、国立感染症研究所は、新たに愛知県の知多半島でも「定着した」との見解を示した。国立感染症研究所、厚生労働省のホームページなどから、どんな感染症なのか、感染源や症状を調べてみた。

エキノコックス症って何?

 エキノコックス(Echinococcus)による感染症で、人の肝臓や、肺臓、肝臓、脳など臓器で包虫が発育し、さまざまな症状を引き起こす。

 国内には、単包性エキノコックス症(単包条虫)と多包性エキノコックス症(多包条虫)の2種類がある。感染症法では4類感染症全数把握疾患に指定されており、全患者発生例の報告を義務付けている。

どうやって感染?

 日本では、北海道のキタキツネが主な感染源で、糞虫にエキノコックスの虫卵を排出され、人はその虫卵が手指、食物、水などを介して口から入ることで感染する。

 一般的にネズミなどが「中間宿主」となり、幼虫を持つネズミを野犬やキツネが食べて広がるという。国内では、北海道のほか、愛知県で狂犬病対策として捕獲された野犬から検出されている。

 国立感染症研究所によると、人から人への感染はない。

虫卵が体内に入ったらどうなる?症状は

 口から体内に虫卵が入ると、幼虫が虫卵から出て腸壁に侵入。血流やリンパ流に乗って、体のあらゆる所に運ばれ定着、増殖する。そのスピードはゆっくりで、周囲の臓器を圧迫する。

 多包性の場合は極めてゆっくりで、肝臓の腫大や腹痛、黄疸、貧血、発熱や腹水貯留などの初期症状が現れるまで通常10年以上かかる。放置すると約半年で腹水が貯まり、死に至る。

 感染初期は無症状で経過することが多いが、発症前や早期の無症状期でも、スクリーニング検査の超音波、CT、MRIの所見から検知される場合がある。このほかの診断方法は、肝臓の摘出組織や生検組織から包虫あるいは包虫の一部の検出、血清から抗体の検出。根治するには外科的切除が唯一の治療法となっている。

エキノコックス症の予防法

・感染源となるキツネやイヌなどの保虫宿主に接触しない
・野山に出かけた後は手をよく洗う
・キツネを人家に近づけないよう、生ゴミ等を放置せず、エサを与えたりしない
・虫卵に汚染されている可能性のあ る飲食物の摂取を避ける
・沢や川の生水は煮沸してから飲むようにする
・山菜や野菜、果物等もよく洗ってから食べる
・犬も感染した野ネズミを食べて感染するため、放し飼いをしない