「よし、行くか」。勢いよくキックペダルを踏み下ろし、エンジンをかける=福井県福井市南菅生町

越前海岸を愛車と駆け抜ける。絶好のツーリング日和だ=福井県福井市浜北山町

 7月に納車されたばかりの愛車にまたがり、雲一つない秋空の下、福井県の越前海岸の曲がりくねった道路を駆け抜ける。「絶好のツーリング日和や」―。新米ライダーの宮崎千佳さん(24)=福井市=の笑顔が弾けた。

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 メッシュ素材のジャケットとパンツ、ヘルメットも黒一色のコーディネートでクールに決めた。「自分の体を使って自由自在に操る。鳥になったような気持ち良さがたまらない」と、ツーリングにはまっている。

 海岸のカフェでランチを取ると、近くの岩場で海をバックに一眼レフで愛車をパシャリ。バイクライフをツイッターやインスタグラムで投稿するのも楽しみだ。

 時は新型コロナウイルスの渦中。病院の看護師として多忙な日々が続く中、「バイクと過ごす非日常」がオフの時間を鮮やかに彩ってくれる。

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 愛車のバイクを預けている県内の実家を出発してから約1時間半。ドライブやツーリング客に人気のカフェ「MARE(マーレ)」(福井市大丹生町)に到着した。駐車場にずらりと並ぶバイクを見渡し、宮崎さんは「やっぱり、私のが一番かわいい」とにんまり。

 濃紺のボディーにベージュのシート、銀色に輝くマフラー。愛車の「ヤマハSR400」は、クラシカルなフォルムと、キック式でエンジンを掛ける“硬派”なスタイルにひかれた。走っている時の、体に響く振動やエンジン音もたまらなく好き。

 カフェでローストビーフ丼を平らげると、近くの鉾島(同市南菅生町)へ。岩場と海と愛車を一眼レフで撮影しながら「私の相棒。移動手段じゃなくて、乗りたくてどこかに行く感じ」と、バイク愛が止まらない。10月初旬というのに気温は30度近くになったが、いったん走りだせば秋風に包まれ、心身をリフレッシュさせてくれる。

 彼氏に勧められて昨秋、中型自動二輪の免許を取得した。看護師という仕事柄、“密を避けた趣味”はうってつけで、乗り始めてからは夢中になった。普段はユーチューブでライダーの動画を見て、イメージトレーニング。勤務後に街中を3~4時間走ることもあり、運転にも自信がついてきた。

 間もなく、満開のコスモスや紅葉を楽しめる時期がやってくる。「これからが楽しみ。この子と出掛けるようになってから、いつもの景色も違って見える。田舎って最高って感じるようになった」。愛車が見せてくれた世界、どこまでも走っていきたい。