全長約13メートルの「ティロサウルス・プロリゲル」の複製全身骨格化石=勝山市の福井県立恐竜博物館

 福井県立恐竜博物館(勝山市)が約2カ月の臨時休館を終え、10月1日に再開した。太古の海に生息した海生爬虫類に焦点を当てた特別展「海竜~恐竜時代の海の猛者たち~」は開催期間を2022年1月10日まで延長。化石など約80点の標本を展示し、モササウルス類、首長竜などの生態や壮大な進化の歴史をたどることができる。映画などにも登場して人気を集める海竜をはじめ、特別展の魅力を深掘りして紹介する。

 空中につり下げられたサメに向かい、巨大なモササウルスがうなり声を上げて海面から飛び出す。獲物を丸のみにすると、豪快に水しぶきを上げて海中へ消えていく―。これは2015年に公開された映画「ジュラシックワールド」のワンシーン。エンターテインメントの世界でも海竜は圧倒的な存在感を誇り、子どもにも大人気だ。

 モササウルス類は約1億年前の白亜紀後期に絶滅した魚竜類と入れ替わるように出現したとされ、徐々に大型化していった。オオトカゲ類に近い種と考えられてきたが、現在はヘビ類が近縁とする説も提唱されている。

 今回、複製全身骨格化石が展示されているのは、中でも最大級の「ティロサウルス・プロリゲル」。約8400万年前に出現したとされ、現在の北アメリカやヨーロッパ、アフリカ、日本などに広く分布したという。展示している個体は全長約13メートルに及ぶ。

 これまでの研究で、その生態も明らかにされている。体温は34度前後で、身体の表面は3ミリ程度の細かいひし形のうろこで覆われていたとみられる。のど近くの上あごにも歯があり、サメなどの魚のほか、同じモササウルス類などを捕食していた。「ティロサウルス」という名前の意味は「コブのあるトカゲ」。その名の通りに鼻先が突出しており、シャチが鯨を狩るときのように獲物に体当たりをするのに使ったという説もある。

 特別展では、日本で発掘されたモササウルス類の「フォスフォロサウルス・ポンペテレガンス」「モササウルス・ホベツエンシス」の化石も展示。「ドラえもん」のアニメ映画に登場する首長竜「エラスモサウルス」の一種の複製全身骨格化石など、ほかのエンタメの世界に登場する海竜もそろう。

 標本だけでなく、コンピューターグラフィックス(CG)の動画も公開している。モササウルス類の一種が魚を追いかけ回す映像などは、映画も顔負けの大迫力。竹内利寿館長は「秋の行楽シーズンに向け、ようやく再スタートが切れた。全国のファンの皆さまに、海竜たちとの楽しい時間を満喫してほしい」と話す。