自動販売機でクラフトチョコを販売する「アフターグロウチョコレート」=9月24日、福井県福井市照手1丁目

 カカオと砂糖のみを使ったクラフトチョコレートを自動販売機で提供する風変わりな専門店がこのほど、福井県福井市照手1丁目にオープンした。「あえて人が介入せず、買う人が自由に楽しめるように」と狙いを語るのはオーナーの納谷俊徳さん(38)=敦賀市。自販機裏の工房で、オリジナルのチョコレート作りに励んでいる。

 チョコレート店「アフターグロウチョコレート」は2021年9月にオープン。ガーナ、マダガスカル、ベネズエラなど厳選した産地の板チョコやチョコレートマドレーヌなど10種(税込み350~1400円)が自販機に並ぶ。開店以来口コミやSNSで人気が拡大し、市街地に勤める女性客や、コーヒーブレークに立ち寄る男性客も多いという。

 カカオ豆の選別や焙煎(ばいせん)、豆ひきなどの工程は、独学で学んだ納谷さんが全て行う。香料やカカオバターを添加せず、豆本来の香りと余韻を最大限に引き出す。「同じ産地の豆でも、個性によって味が変わる。シンプルだからこそ奥が深い」という。

 納谷さんは、金属工芸作家としても敦賀市に工房を持つ。今年2月の仕事終わりにチョコを食べ、「物体を扱うものづくりだけでなく、味や香りの余韻という空間づくりを手掛けてみたい」と思ったのがチョコに取り組むきっかけとなった。24時間稼働する自販機での販売は「好きなときに好きな場所でチョコを楽しんでほしい」との思いによる実験的試みという。

 金属工芸品は都内の百貨店などからも引き合いがあったが、現在は受注を極力抑えチョコに専念。工房の元スタッフの宮本千春さん(46)=福井市=も加わり、焼き菓子を作っている。オンライン販売も行っており、問い合わせは同店の公式ホームページかインスタグラムまで。