ウエディングドレス姿など女装した男性を撮影するサービスが人気を呼んでいる=福井県福井市西谷1丁目の「マリーマリエ」

 貸衣装店「マリーマリエ」を展開する日之出衣裳店(本社福井県福井市西谷1丁目、井関ひとみ代表取締役)が、性別を問わずドレスや着物を貸し出し、スタジオで撮影するサービスが県外を中心に人気を呼んでいる。利用者の9割は男性で海外から訪れる人もいる。井関さん(49)は「性別に関係なく、家族でも、夫婦でも変身して非日常を楽しんでほしい」と話している。

 少子化で婚礼需要が減る中、2013年に衣装を貸し出し、メークと撮影を兼ねた「お姫様体験」サービスを始めた。当初は女性をターゲットにしていたが、一人の男性の利用をきっかけに「男が姫になれる場所」として会員制交流サイト(SNS)などで広まった。

 今では利用者の9割は男性。年代は20~70代で、特に30~40代が多い。男性が女装をして、カメラマンに撮影してもらえる店は全国的にも珍しく、既に42都道府県の男性が利用したという。米国、英国、中国、韓国などからの来客もあり、ホームページは日本語と英語で掲載している。

 車で駅まで迎えに行き、男性の場合は店近くの理髪店でひげをそり、店でヘアメークを施す。スタジオで撮影後、パソコンで写真データを“美しく”修正する。ドレス1着コースで9万3500円(税込み)。

 利用者の半分はリピーターで、10回以上訪れた人も。このほど来店した関西の会社員男性(50)は、2年前に初めて訪れてから今回が4回目。「私の誕生日だから」と、純白のウエディングドレスを選択した。

⇒【写真】ドレスをまとい自撮りする男性

 撮影前にはエステで肌の調子を整え、お気に入りのウイッグ(かつら)はティアラとベールで飾り付けた。「ここは違う自分を見つけられる場所」。撮影時にはブーケを持って、とびきりの笑顔を見せた。

 県外の利用者は福井で宿泊することも多いことから、今年3月からはあわら市の温泉旅館「まつや千千」と連携し、旅館内で和装で撮影し宿泊もできる旅プランを始めた。

 利用者の中には心と体の性が一致しないトランスジェンダーもいる。井関さんは「サービスを始めて、いろいろな性があること、そして悩みを知った」と話す。小学生と思われる男児から、電話口で「僕が大きくなるまで(店を)やめないでください」と言われたこともあるという。

 店では女装だけでなく、3世代家族、カップル、夫婦の撮影なども行っている。井関さんは「性別に関係なく美しく着飾って、非日常を楽しんでほしい」と話している。

 新型コロナウイルスの影響で福井に来られない人のため、11月から変身グッズとして、かつら、つけまつげ、化粧品、下着などをネット販売する予定。