薬局の錠剤棚には、後発薬の在庫がひっ迫し「なくなったら先発へ」と書かれた製品もある=福井県永平寺町の水仙薬局

 小林化工(福井県あわら市)や最大手の日医工(富山県富山市)などジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの不祥事が相次いだ影響で、全国で連鎖的に医薬品の供給が滞り、福井県内の病院や薬局も頭を悩ませている。先発薬を含む同一成分の代替薬で対応しているが、患者からは不安の声も。県内医療機関の薬剤師は「在庫に余裕がなく綱渡りだ」と苦境を訴える。

 県薬剤師会が運営する水仙薬局(永平寺町)の調剤室。錠剤を収めた棚の引き出しには「なくなったら先発へ」「在庫これだけ」などの張り紙が見える。6月ごろから納品が遅れ「問屋に注文すれば翌日入ったものが1週間かかったり、全然入らなかったり。メーカーに掛け合って確保している」と、担当の薬剤師は頭を抱える。

 在庫不足は抗アレルギーや抗コレステロール、抗不整脈、精神安定剤など多岐にわたる。同一成分の他メーカーの後発薬を手配できても再び供給が止まり、薬を2度替えてもらった患者もいるという。

 同薬局を利用する男性患者(70)は、一部の薬が別メーカーのものになった。糖尿病や高血圧症を患っており「今は後発薬のおかげで月の薬代は6千円くらいで済んでいるが、全て先発に切り替わるなら倍額になる。負担が心配」と話す。

 ■玉突き

 昨年12月、製造する医薬品への睡眠導入剤成分混入が明らかになった小林化工は、116日間の業務停止命令などを受け、製造・出荷を停止し現在も再開のめどは立っていない。日医工は工場の品質管理体制に問題があったとして今年3月、工場製造業務の32日間停止などの処分を受けた。同社は現在、全製品の品質評価を行っており、多くの製品が出荷遅れや欠品となっている。

 医療機関は、同一成分や効能が同じ代替薬を求めるが、他メーカーも安定供給を図るため供給の制限や新規注文を断るなどの出荷調整をせざるを得ず、玉突きで供給不安が広がった。厚生労働省は、出荷調整の対象の先発・後発医薬品は全体の3分の1の約5千製品に上るとみている。

 ■増産に限界

 後発薬メーカーでつくる日本ジェネリック製薬協会(東京)によると、大手メーカーで10~20%の増産を図っているが追い付かない状況。佐藤岳幸理事長は「これだけの規模の出荷調整は初めて。各メーカーは需要を見越して年間の生産計画を立てており、不足分を肩代わりするには限界がある」と説明した。

 同協会は相次ぐ不祥事を受け、会員各社に国の承認通りに製造しているかなどの自主点検を呼び掛けている。点検で不備が明らかになり、出荷停止となるケースもあり混乱が続く。

 国は代替薬の活用を促し、厚労省経済課の担当者は「品目により偏在が見られ、なるべく広域で融通し合ってほしい」とする。県薬剤師会の角野雅之会長は「多くの医療機関の在庫量を把握し調整するのは困難」と指摘。「年内は影響が続くだろう。医師と相談しながら薬の変更を検討するなど、供給不足に対応していきたい」と話し、患者に理解を求めている。

⇒【連載】小林化工、法令違反の実態と背景(D刊)

 【ジェネリック医薬品】新薬(先発医薬品)の特許期間が過ぎた後に製造される後発薬。新薬と同じ有効成分を使っており、品質や効き目、安全性は同等。新薬に比べ開発期間が短く、開発費も少ないため価格を安くできる。医師の処方により医療機関や薬局で調剤される医療用医薬品で、大衆薬のように処方箋なしで購入できない。政府は医療費抑制の有効な手段として使用を促している。2023年度末までに全都道府県で数量シェアを80%以上とする目標を今年新たに示した。