福井県坂井市の東尋坊=2020年4月(福井新聞社ヘリから撮影)

 福井県坂井市は9月16日、県内屈指の観光地・東尋坊(坂井市三国町安島)の再整備基本計画で目玉としていた、崖付近を通る空中散策路「ブリッジ」構想を断念したと明らかにした。国指定の天然記念物・名勝のため、設置に向け国と協議してきたが、景観や文化財保護の観点から承認が得られないと判断した。

 同日の市議会産業建設常任委員会で理事者が説明した。

 ブリッジは全長約250メートルの半円状で、崖の上付近から見下ろせる形を想定。誘客効果を高めるため、新たな商店街の整備、地形や地質を紹介するビジターセンターの新設、駐車場の一元化と併せ、巨大な柱状節理を新たな角度から眺めることができるメインの施設と位置付けた。昨年7月に策定した再整備基本計画ではブリッジの有無を併記し、検討を進めてきた。

 常任委で理事者は計画策定以降、福井県の協力を得ながら文化庁が指定する専門家と協議してきたと説明。▽景観を阻害する可能性が排除できない▽天然記念物の岩礁を基礎などで毀損する恐れがある▽毀損の恐れがない内陸に整備しても新たな視点場や誘客の目玉にならない―ことから、ブリッジ建設を断念したとした。

 委員からは「一番の目玉を断念していいのか。200万人の誘客を目指すにはブリッジは欠かせない」と指摘が出た。坂本憲男市長は「最終的に(断念は)私が判断した」と応じ「専門家から話を聞き、いくら頑張っても実現の可能性が薄いと判断した」と述べた。

 理事者はブリッジの代替として、年間を通して東尋坊の大パノラマや夕日が楽しめるテラスの設置、デジタル技術などを駆使するビジターセンターの機能強化を挙げ「誘客の核となる施設の方向性について多角的な視点から検討を進め、地元と協議したい。計画する各施設の機能を磨き上げることでブリッジの穴を埋めていきたい」と話した。