語る会で政策を訴える奈良氏=9月7日、福井県越前市の武生商工会館

事務所開きで政策を訴える山田氏=9月5日、福井県越前市塚町

出馬会見で自身の政策を語る宗田氏=9月2日、福井県越前市丸岡町

 任期満了に伴う福井県の越前市長選挙は10月10日予定の告示まで1カ月となった。これまでに3氏が出馬を表明。5選を目指す現職の奈良俊幸氏(59)=片屋町、前福井県副知事で新人の山田賢一氏(62)=赤坂町=は精力的に市内を回り、前哨戦にしのぎを削っている。美術家で新人の宗田光一氏(66)=丸岡町=は独自の政策を訴えていく構え。市長選が3候補で争われるのは2005年以来16年ぶりとなる。投開票日は10月17日の予定。

 奈良氏は6月市会で出馬の意向を表明。市内全17地区に持つ地区後援会をフル活用し、地域のあいさつ回りに足を運ぶほか、7月下旬ごろから「語る会」を各地で開いてきた。

 7日夜の会では、4期16年の実績をアピール。北陸新幹線越前たけふ駅周辺の官民連携プロジェクトについては、市会で批判があることにも触れながら、「課題を一つ一つ乗り越えて前に進んでいくのが政治。多くの皆さんと一緒にまちづくりを進めさせていただきたい」と熱を込めた。

 後援会は、市内各地にシンボルカラーの青いのぼり旗を設置。3回連続の選挙戦となるが、激戦が見込まれていた05年の初代越前市長選を引き合いに「あのときのように緊張感を持ってやらないといけない」(後援会関係者)と引き締めの声が上がる。市役所近くの同市幸町に事務所を構え、19日に事務所開き式を予定している。

 山田氏は7月5日に出馬表明し、市議有志らが組織した後援会を母体に、連日の企業訪問や地区回りで市民との対話を重ねてきた。今立地域のほか国高、北新庄、北日野など地区単位の後援会も順次発足。県政で手掛けてきた「営業の視点」での施策を例に挙げ、北陸新幹線開業に向けて地域資源を生かす新しい市政への転換を訴えている。

 同市塚町の駐車場で5日に行った事務所開きでは、県選出国会議員や県議、市議、後援会役員ら約500人(後援会発表)を前に「越前市を再び輝けるまちに、住みやすく誇れるまちにする」と決意を述べた。

 8月下旬からはシンボルカラーのオレンジのシャツで辻立ちを始め、認知度向上に注力する。地区後援会などの集いでは、応援弁士が現市政の閉塞(へいそく)感を指摘し「越前市がやっと得た人材。現職と戦える人がやっと現れた」と支持拡大への協力を呼び掛けている。

 市内団体では、JA越前たけふ、日本商工連盟武生地区、県商工政治連盟越前市支部、市建設業会など多くが現職の奈良氏を推薦。一方で、奈良、山田の両氏に推薦状を出す区が目立ち、奈良氏を推薦した市自治連合会からは山田氏も後に推薦を得た。山田氏は日野川用水土地改良区、市遺族連合会などの推薦も受けている。

 告示が近づく中、市民からは「立候補する人の活動が伝わってこない」との声も聞かれる。両陣営とも、新型コロナウイルスの影響で大規模な集会はあまり開けていないこともあり、支持の広がりが互いに見えづらい状況が続いている。

 宗田氏は2日に出馬を表明。「市民が経済的に豊かになるのが一番の目標」とし、市独自の地域通貨の導入などを政策に挙げた。

 8月末まで務めていた地域おこし協力隊として地域通貨構想を市に提案したものの進まなかった経緯を挙げ、「これまでの政治の延長では実現できない。市の方々と協力し、実行したい」と出馬の動機を語る。後援会などの支援組織は持たず、SNSなどで支持を求めていく方針。