東京パラリンピック女子マラソン(視覚障害T12)でゴールする西島美保子選手(手前)=9月5日、国立競技場

 【東京パラリンピック女子マラソン視覚障害】西島美保子選手(66)=福井県福井市、福井県視覚障害者福祉協会=の8位入賞に、途中棄権した前回リオデジャネイロ大会の悔しさを知り、福井でともに走り支えてきた人たちは胸をなで下ろした。

 視覚障害者で現役ランナーの夫の徹さん(68)はリオ大会後、ショックで抜け殻のようになっていた西島選手に「東京で完走して悔しさを晴らしてほしい。頑張ってみたら」と背中を押した。西島選手が東京へ向け再始動すると、練習に打ち込めるようにと、掃除や洗濯は徹さんがするようになった。マッサージ師として病院に勤務していた経験も生かし、就寝前には約30分かけて脚や腰をもんでケア。「自分もしてもらうんだけど、10分くらいで終わってしまう。僕は丁寧にしているのに。仕方ないんだけどね」と冗談交じりで笑う。

⇒【写真】レース中、沿道で応援する西島選手の夫の徹さん

 9月5日は、息子2人とコース沿道を移動しながら応援。40キロ過ぎではふらつきながら走る姿に「もう少しやで頑張れ」と声を送った。待ち望んだゴールに「ホッとした。これまでよく頑張った。ご苦労さんと言いたい」とねぎらった。

 視覚障害者らのマラソン愛好会「福井楽障クラブ」代表で現役ランナーの青竹レイ子さん(72)=福井市=は自宅のテレビに向かって「あと少し、頑張れ」と叫んだ。

 西島選手は楽障クラブ女子のエース。代表合宿以外はメンバーと一緒に陸上トラックや河川敷で練習を積んだ。青竹さんの娘の夫、野坂朋弘さん(52)は7、8年前から西島選手の練習で伴走を担ってきた。30キロ走での表情やペースから「今年に入って調子を上げているな」と感じ、期待を寄せていた。

 「今でもふと、リオデジャネイロで途中棄権したことを思い出すの」。西島選手は最近、2人にそう話したという。雪辱への決意をよく知るだけに、テレビ観戦は熱がこもった。終盤、ふらつく様子が映し出されると「何があったの」。青竹さんは息をのんだ。「頑張れ、頑張れ」。完走を信じて祈った。

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 青竹さんは「苦しんだけど、走れる喜びを教えてくれた。立派でした」と胸を熱くしていた。