ティラノサウルスの下顎内の血管や神経管(オレンジ部分)のCGモデル(河部壮一郎准教授提供)

 福井県立大恐竜学研究所は8月23日、肉食恐竜ティラノサウルスの下顎には血管や神経が集中しており、触覚が相当に発達していた可能性があるとの研究成果を発表した。下顎の化石をコンピューター断層撮影装置(CT)で解析し、内部の血管や神経が通る管を世界で初めて3次元で復元した。

 同研究所によると、触覚が鋭い下顎で獲物の肉と骨を区別したり、子どもを持ち上げたりしていた可能性が考えられるという。英国の国際学術誌電子版に同日、論文が掲載された。

 ティラノサウルスは後期白亜紀(約6800万~6600万年前)に栄えたとされる全長約12メートルの大型恐竜。同研究所の河部壮一郎准教授によると、ティラノサウルスは恐竜の中で最も研究が進んでいるが、肉食恐竜全体として下顎の研究は進んでいなかった。

 河部准教授と同研究所の服部創紀助教は、2020年1月から下顎の研究に着手。福井県立恐竜博物館(勝山市)所蔵の、米モンタナ州で発掘された全長89センチのティラノサウルスの左下顎の化石をCTで解析し、草食恐竜のトリケラトプスやフクイサウルスなどと比較した。

 この結果、ティラノサウルスは特に顎の先端で、血管や神経の管が複雑に枝分かれし本数も多かった。神経などが複雑に枝分かれするほど密度も高くなり、敏感だったと考えられ、極めて鋭い感覚を持つとされる現代のワニに匹敵するという。

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 生態として、▽肉と骨を食べ分けていた▽あご先で子どもを持ち上げていた▽鼻と鼻とのタッチで同種の恐竜とコミュニケーションを取っていた―などの可能性を指摘。河部准教授は「今回の研究成果は、ティラノサウルスの生態など新しい一面の解明につながる可能性がある」と話した。