日本原子力発電敦賀原発2号機=2020年10月、福井県敦賀市

 日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の審査資料を不適切に書き換えた問題を巡り、原子力規制委員会は8月18日の定例会合で、再稼働の前提となる審査を中断することを決めた。原電の体制改善が確認できるまで再開しない方針で、時期は見通せない。

 審査では原子炉建屋直下の断層が活断層かどうかが焦点。活断層と認められると廃炉を迫られるため、原電が審査で否定しようとしていた。

 会合後の記者会見で、更田豊志委員長は「長期間にわたって(審査を)放り出したいわけではない。(活断層か否か)科学的に決着をつけたい」と述べ、原電が信頼性のある審査資料を提出できるようになったと確認できれば再開する考えを示した。審査再開の要件として原電の体制の確認を進める一方、書き換えの経緯や原因についても別途、検査を続ける。

 問題は規制委が2020年2月、敷地の掘削調査試料を分析した「ボーリング柱状図」の記述が無断で書き換えられていることを指摘して発覚。柱状図の書き換えは計25カ所に上った。うち18カ所は、原子炉建屋直下の断層の活動性を判断する上で重要な地点で掘削した試料に関するものが大半で、地層の状態を「未固結」から「固結」と書き換えるなどしていた。

 原電は「記載を充実させるため、肉眼による地層の観察結果に基づく記載を顕微鏡によるものに変更した」と、意図的な改ざんなどではないとしているが、規制委側は「生データの扱いとしてあまりに非常識」(更田氏)などと批判。専門家から「固結度は(断層の)活動性を判断する重要な状況証拠だ」との指摘も出ている。

 規制委は問題発覚後にも審査を中断したが、原電が地質調査会社の生データを示したことなどから20年10月に再開を決めた。今年7月の定例会合で、書き換えの経緯などを調べている規制委事務局から、原電の業務管理に問題があったとの中間報告を受け、改めて中断を検討することにした。

■渕上隆信敦賀市長の話

 原子力規制委員会において敦賀発電所2号機の新規制基準適合性審査の取り扱いについて審議され、業務プロセスの構築が確認されるまでの間、審査会合を実施しない旨の決定がなされた。

 日本原電においては、原子力規制委員会の指摘に真摯に対応し、信頼を獲得していただきたい。

 また、原子力規制委員会においては、日本原電に対して的確に指示を行い、原子力規制検査を速やかに進めていただきたい。

■日本原子力発電(原電)のコメント

 原子力規制委員会の定例会合において、敦賀発電所2号機の新規制基準適合性審査の取り扱いに関する今後の方針として、ボーリング柱状図の調査データに基づく当社の評価結果の信頼性が確保されるために必要な業務プロセスの構築が確認されるまでの間は、審査会合を実施しないことが示されました。

 当社は昨年10月30日の規制委員会による審査会合において、ボーリング柱状図記事欄の記載を変更した箇所について、記載の変遷の経緯を示すとともに、今後審査資料として提出する柱状図の記事欄には上書きしないこと、追加データ等を記載する場合は変遷が分かるように審査資料を作成することを説明しました。規制委員会からは、本問題に関し、データや知見に関する記録のあり方、品質保証のあり方について原子力規制検査として別途詳細に確認することが示されました。

 これを受け、再発防止としてさらなる原因究明・対策を講じるため、当社は根本原因分析チームを設置し、2回の公開会合と6回の原子力規制検査の中で、2020年2月7日の審査会合で使用した柱状図記事欄に係るご指摘までの時系列を詳細に確認・分析し、説明しております。今後、抽出した問題点の根本原因分析と再発防止対策を提示し、確認いただきながら進めてまいります。なお、当社はこれまでの分析に基づき、自主的に是正処置を適宜実施しております。

 本日の規制委員会で示された方針に基づき、業務プロセスの構築を確認して頂くための準備を早急に進め、早期に審査会合を実施していただけるよう、全力で取り組んでまいります。