【ドクター相談室】口を開けると顎の付け根が痛い

 10年ほど前に、大きく口を開けて食事したとき、顎の付け根がガクッとなり、痛みが出てきました。以来、あくびをしても痛く、痛い箇所は耳の近くまで上がっています。手術しなくても良くなる方法はないでしょうか。(70代女性)

【お答えします】山口智明・福井県済生会病院口腔外科副部長

■マウスピース装着も選択肢

 口を大きく開けた際に顎関節からガクッという音がしたとのことですと、いわゆるクリック音が発生していることが予想されます。

 クリック音とは顎関節の上に乗っかっている関節円板という構造物が動く際や、口の開閉運動をした際に、顎関節と関節円板が接触する際に出現すると言われています。

 このクリック音が顎から聞こえてくる症状をお持ちであれば、顎関節症の中で関節円板の障害が存在するタイプに属します。本障害の治療のうち、外科的手術による治療に顎関節への内視鏡手術や関節円板整位術、関節円板切除術などがありますが、このような外科的手術が第一選択となることは極めてまれです。

 治療の第一選択にスプリント療法があります。俗に言うマウスピースを上顎か下顎のどちらか一方に装着し、噛み合わせの高さや顎の位置・顎の運動を意図的に変化させるために装着します。本治療は▽歯型取り▽プラスチック製のマウスピース作成▽口腔内にマウスピースを装着し高さの調整▽作成したマウスピースを夜間就寝時に装着-といった流れです。併発症をもたらさない治療で、顎関節治療には不可欠といっても過言ではありません。

■治療前に噛み合わせ確立を

 顎関節治療の背景に適切な咬合(こうごう)関係(上下のあごの歯牙がそろっていること、そろっていない場合は歯の欠損を補う治療が完了してること)が確立していることが重要です。

 顎関節治療は、適切な咬合関係の確立が前提と言えます。そのため、本疾患の治療を受ける前には、歯科医院での分析や治療で適切な噛み合わせを確立させた上で、その後にスプリント療法で顎関節治療を行うことが有効と考えます。

 また口を開けるとき、顎の痛みを自覚しても口の開閉口運動をしっかり行うことも痛みを減少することにつながりますので、運動療法も併せてお勧めします。