男女いずれかにチェックを入れる欄がある新型コロナワクチン接種の予診票

 新型コロナウイルスのワクチン接種が広がる中、福井県内のLGBTQ(性的少数者)から、接種時に提出する予診票に性別の記入欄があることに不安の声が上がっている。戸籍上は女性だが、男性として生活しているトランスジェンダー男性は、外見と予診票の性別が異なることで「会場で医療従事者に驚かれるかもしれない」と接種に二の足を踏んでいる。

 自治体から送付されるワクチンの接種券には、名前が記載されているだけで性別は書かれていない。しかし、同封の予診票には男女いずれかにチェックを入れる欄がある。県内の複数の自治体の担当者は、予診票について「国の様式をそのまま使用している」と説明する。

 県内のトランスジェンダー男性は接種券が届いた後、かかりつけ医で個別接種を予約しようとしたが「8月以降になる」と言われた。「早く接種したいけど、集団接種には踏み切れない」

 定期的に男性ホルモンを注射しており、職場でも男性として過ごしている。しかし、予診票の性別欄には戸籍上の女性と記入することになる。「きっと『本当なの?』という顔をされ、何度も確認される。集団接種会場でそんなことになったら、自分がトランスジェンダーだと周囲に分かってしまわないか不安」と打ち明ける。

 別のトランスジェンダーで、戸籍上は男性で自己認識は女性の人=福井市=は「私は開き直って『戸籍上は男です』って言えるけど、それができない人にとってはワクチン接種はハードルが高いと思う」と話す。

 県内では、複数の自治体が選挙投票所の入場券の男女表記を、見た目では判別できない記号や数字に変更している。県立高入試で生徒が記入する願書などの書類も性別欄が削除されている。

 先のトランスジェンダー男性は「ワクチンは必ず打ちたい。医療従事者の人たちには、トランスジェンダーを想定して対応に当たってほしい」と訴える。