魚や河川環境の情報をイベントやSNSで発信している福井県内水面漁連技師の中野光さん=福井県福井市内

 福井県内水面漁業協同組合連合会(県内水面漁連)の技師、中野光さん(25)は、魚好きが高じて福井県福井市から同県小浜市の小浜水産高校(現・若狭高校海洋科学科)、福井県立大学海洋生物資源学部に進学し、川の生き物を守り育む仕事に就いた。休日も自然環境イベントの講師を務め、会員制交流サイト(SNS)での情報発信に力を入れるなど“魚一色”の日々を送っている。

 幼い頃から生き物が好きで、絵本を通じて魚類にひかれたという。海洋学者で北海道大学名誉教授の仲谷一宏さんの著作をきっかけに、特にサメの生態に強い関心を持った。本格的に魚類の勉強をしようと、親を説得し、小浜水産高に進んだ。

 高校時代は、小浜湾で海草アマモの再生に取り組むプロジェクトに熱中した。福井県立大生との合同調査やアラレガコの養殖試験に力を入れ、ダイビング部の部長や生徒会長も務めた。

 福井県立大では、河川構造物がアラレガコなどに与える影響を研究し、卒業論文が学部の発表会で最優秀賞に選ばれた。「フィールドワークは大変だったけれど、器具の扱い方やデータの取り方などは今の仕事でも役立っている」と話す。

 河川の水産資源や生態系の保全、内水面漁業の活性化に取り組みたいとの思いから、2020年に福井県内水面漁連に就職した。職場で唯一の技師として、主に放流用アユの生産や外来魚駆除を担当する。

 「自分たちが育てたアユが放流され、漁業関係者や釣り客らの喜びの声を聞くとやりがいを感じる」。今後は、希少な淡水魚の生息分布や日本海側で遅れているという魚介類の寄生虫の研究にも力を入れる考えだ。

 休日も川や海に足が向く。県内外で採取活動を行っているほか、子供たちに魚を身近に感じてもらおうと観察会や環境イベントの講師を務める。仲間には「カジカ屋」「サメの中野」と呼ばれ、SNSで専門知識を発信し、各地の生き物好きとつながっている。

 アラレガコ、サクラマス、サバなど福井を代表する魚を描くのもライフワークの一つだ。「ゆくゆくは画集の出版や個展が実現できればうれしい」と夢を広げている。