「河童の詫び証文」の舞台とされる金瀬川の河口を指さす佐田伝統文化保存会の金田顧問=6月30日、福井県美浜町佐田

 日本財団が「海と日本プロジェクト」の一環として行う海にまつわる民話のアニメ化事業に、福井県美浜町佐田に伝わる「河童の詫び証文」が県内で初めて選ばれた。いたずらする河童を捕らえ悪さをしないよう誓わせたという逸話で、5分程度のアニメとなり今冬にも公開される。ゆかりのある住民は「これからも語り継いでいきたい」と喜んでいる。

 アニメ化事業は「海ノ民話のまちプロジェクト」。島国日本の海との関わりや地域の誇りを子どもたちに語り継ごうと2018年度に始まった。これまで全国各地の17本がアニメ化され、2021年度は1府9県の民話が選ばれた。

 「河童の詫び証文」の舞台は佐田を流れる金瀬川の河口とされる。住民が牛を洗っていたところ、河童が牛の尻子玉を引き抜こうとしていたため縄で縛り、命を助ける代わりに証文を書かせたという話。翌日家の入り口に証文と魚があり、それ以降魚が毎日届いたため、大きな魚がかけられる鉄のかぎを置いた。その後、鉄を苦手とする河童が来なくなったため、「強欲はしっぺ返しがくる」という教訓が含まれている。

 河童に出合った住民が先祖という吉岡芳朗さん(84)によると、証文には「迷惑かけてごめんなさい」という意味のことが書かれ、代々受け継いできたという。吉岡さんは「実物は見たことがなく、今もどこにあるか分からない。伝説かもしれないが、ちゃんと語り継いでいきたいね」と話していた。

 舞台となった河口付近には、地元有志でつくる佐田伝統文化保存会が設置した歴史を示す看板もある。同保存会の金田久璋顧問は「河童の相撲の話など他にもいろんな民話が佐田にはある。注目してくれたらうれしい」と話していた。

 海ノ民話のまちプロジェクトの認定委員長でアニメ監督・プロデューサーの沼田心之介さんがオンライン参加する認定証贈呈式は7月5日、美浜町役場で行われる。