世界選手権2次リーグのスペイン戦でゴールを狙う石立真悠子=2019年12月10日、熊本県のパークドーム熊本

 「流れを変え、勢いを大きくする」。東京五輪のハンドボール女子日本代表に選ばれた福井県福井市明倫中学校出身の石立真悠子(34)=福井県スポーツ協会・三重バイオレットアイリス=は自身の役割をそう自覚する。国際試合の出場98戦、計202得点はだてではない。海外リーグも戦った34歳の司令塔が支柱になる。

 代表選考に関わる試合が少ない中で、持ち味を見せた。2019年11月末に開幕した世界選手権(熊本)。初戦のアルゼンチン戦で17分のプレー時間ながら3点を挙げ、流れが相手に傾きそうな場面で個人技を発揮した。

 18年の右膝靱帯断裂後、10カ月のリハビリを経て戦列に復帰したばかり。「フィーリングを戻すのは大変だった」と明かすが、調子を合わせてきた。2020年以降は、新型コロナウイルス禍で大会中止が相次ぎ、同選手権が選考期間中最後の国際試合となった。

 切れのある1対1は明倫中時代からの強みだ。14年に移籍したハンガリーのプロリーグで得たのは「自己主張」だという。「日本人はプレーをうまく、きれいにやりがち。向こうは泥臭くても、点を取れば評価される世界」。30代を迎え、出場時間が限られる最近は周りを生かす戦術眼を磨いた。年齢を重ねながらプレーの厚みを増している。

 五輪代表14人で上から2番目の年長世代。これ以上のけがは選手生命に関わる―。五輪の1年延期は重い現実だった。「心が折れそうな時が何度もあった」。背番号「81」の8は、無限大の「∞」が由来。可能性を信じ、強化合宿を耐えた。

 女子は11大会ぶりの出場になる。「五輪にすむという魔物を見た選手は一人もいない」。だからこそ、経験豊富なベテランに使命がある。