福井県が「感染対策特別地域」に指定した福井市中心部のエリアに含まれる通称片町。飲食店の店主からは複雑な思いが聞かれた=6月21日、福井県福井市順化1、2丁目

 福井県福井市中心部の飲食店14店にまたがる新型コロナウイルスの感染拡大は、関連の感染者が6月21日時点で計55人に上り、歯止めがかからない。県内の新規感染者が連日20人以上となる状況に危機感を強めた福井県は、繁華街の通称片町やJR福井駅西口を含むエリアを「感染対策特別地域」に指定し、市と連携し集中対策に乗り出した。エリア内の飲食店主からは「ようやく客足が持ち直してきたのに」「感染防止につながる」など複雑な思いが聞かれた。

 「飲食店従業員らの飲み会が複数行われ、一気に(感染が)広がっている」。杉本達治知事は21日の会見で危機感をあらわにした。同日の新規感染者20人のうち、福井市と坂井市の20~60代の男女11人が福井市中心部の飲食店関連。計55人の感染者のうち、48人が会食を通じて感染したとみられ、全員が会食時にマスクを着用していなかった。

 県の窪田裕行健康福祉部長は「感染者の中で飲食店利用客の割合が増えてきており、エリア全体で検査する必要がある」との認識を示した。

 感染対策特別地域に指定されたエリアの飲食店を対象に一斉PCR検査を決めた福井市の幹部は、「感染拡大で漠然とした不安が広がり、エリア全体の風評被害につながることだけは避けたい」と話す。繁華街での一斉検査は、石川県や愛知県名古屋市で先例がある。

 エリア内で飲食店を営む60代男性は「マスク会食などの対策を続けてきたのに客足が遠のいてしまう」と肩を落とす。飲食店の従業員同士の会食を通した感染が目立つ点に「多くの店が苦しい中、仲間内で飲食したくなるのも分からなくはないが、気を付けないといけない。今の状況は大変残念」とこぼす。

 バーを経営する50代男性は、従業員を含め検査を受けるつもりだ。「陰性と分かった方がすっきりした気持ちで営業できる」とした上で、「ほとんどの店が真面目に感染対策をする中で、一部の店にずさんな対応があったことに腹が立つ。ここでげんこつを落としてもらった方が次の感染防止につながるのではないか」と県や市の対応に理解を示した。

 片町でバーを営む福井県社交飲食業生活衛生同業組合の中屋富史男副理事長(66)は「少しでも安心して片町に来てもらえるように、近辺で働く人たちみんなが検査を受けてほしい」と話した。