新型コロナウイルスの影響で、化粧品店は売り上げ不振が続いている=福井県福井市みのり2丁目の「パウダーハウスSHIBATA」

 新型コロナウイルスの影響でマスク生活が続く中、福井県内の化粧品店は売り上げ不振が続いている。女性が化粧をする機会が減ったためだ。福井市内のある店主は「コロナ前に比べ売り上げは3割減。回復の兆しすらない」と悲鳴を上げる。ワクチンを接種してもすぐにマスクから解放されるわけではなく、別の店主は「廃業する店が今後増えるだろう」と表情を曇らす。

 ■チークもつけず

 「マスク生活になり、化粧が変わった」と話すのは鯖江市の40代会社員女性。コロナ前は、ファンデーションを顔全体に塗って、マスカラを塗り、まゆ毛をかき、口紅、ほおにチークをつけていた。コロナ後は「マスクが汚れるから」と口紅、チークは一切つけなくなった。飲食の外出もしなくなり、化粧直しをする機会もなくなった。

 福井市の50代女性経営者も「おしゃれをする機会が減った分、化粧をしなくなった」と話す。働き方の変化も影響しているという。「テレワークになり、オンライン会議でもマスクをしたまま参加する。ファンデーションもつけず、まゆ毛だけかいておけばいいという感じ」

 ■客と接触できず

 化粧品の販売不振は全国的で、日本百貨店協会が発表した今年4月の化粧品の売上高はコロナ前の2019年同月比で42・6%減だった。

 「コロナになってから特に口紅、ファンデーションが売れない」と話すのは、福井市みのり2丁目の「パウダーハウスSHIBATA」の柴田勇二さん(74)。店の売上高はコロナ前に比べ3割以上落ち込んでいる。「毎月ファンデーションを買っていた人は、2~3カ月に1回になった。もちろん来なくなった人もいる」

 同店の客は60代以上が多い。コロナ前は、スタッフが客の顔のマッサージをしたり、化粧をしたりすることも多く、世間話も弾んだ。柴田さんは「お客さんと密着して商売をしてきたのに、コロナで商売の仕方を完全に否定されてしまった」と話す。

 ■組合加盟店減る

 「国は『ワクチンを打ってもマスクをつけるように』と言っている。これは化粧をしなくてもいいというのと同じ意味」と嘆くのは、福井県化粧品小売協同組合の矢戸治理事長(57)。勝山、大野市で計2店舗経営しているが「通常通り売れているのは眉ずみぐらい。売り上げはコロナ前より2割ほど減っている」。

 メーカーも苦戦を強いられている。資生堂など大手の決算は軒並み減収となり、利益も大幅に落ち込んだ。ただ、矢戸理事長によると、コロナ後にインターネット販売に力を入れ始めたメーカーもあり、「顧客離れとメーカーの直販で、販売店は深刻な危機に陥っている」と打ち明ける。協同組合加盟店舗は2020年は61店舗だったが、今年は57店舗になった。

 福井県などが運営する電子割引クーポン「ふく割」では衣料品、眼鏡、地酒などに利用できる「業種限定クーポン」が発行されるが、化粧品は含まれていない。矢戸理事長は「廃業店が増える可能性があるほど厳しいのに、社会から忘れ去られているようだ。マスクを取る日が来るまで、化粧品不況は続く」と漏らした。