全日本総合選手権の女子シングルス準々決勝でプレーする山口茜=2020年12月25日、東京都の町田市立総合体育館

 この1年3カ月で実戦はわずか2度。大会中止が続く厳しい環境にあっても、山口茜(福井県・勝山高校出身、再春館製薬所)は課題の「スピード」と「我慢」を高いレベルで引き上げた。6月18日、2大会連続の五輪代表入りが正式に決定。悔し涙を流した前回のリオデジャネイロ大会は19歳だった。一回りも二回りも成長した姿を東京で見せる。

 昨年末の全日本総合選手権。決勝で奥原希望(太陽ホールディングス)に逆転負けしたものの、試合内容は濃かった。スマッシュを急がず前後左右に揺さぶり、最終ゲームは18-20からジュースに持ち込む粘り。「攻めるところは攻め、最後まで戦い抜けた」。公式戦は9カ月ぶり。表情が心身の充実ぶりを物語った。

 飛躍の原点はリオ大会の敗戦だ。過去全敗だった奥原と準々決勝で当たり、「最初から全開」でぶつかった。第1ゲームを奪ったが並ばれ、最終ゲームは10-21。体力不足を突きつけられた。スタミナ向上と冷静なペース配分。それを「我慢」と表現し追い求めた。

 試合がなくても「良い練習を積めている」と声は明るい。再春館製薬所(熊本県)の専用体育館で男性コーチらに日々もまれ「(リオから)体力がついた」とはっきり自信を示す。「最近、世界のバドミントンは速くなった。その速さの中での精度と緩急が重要になってくる」。世界トップにいるからこそ、スピードの課題も見えてくる。

 2019年後半は足腰の故障に苦しみ、初戦敗退や棄権が続いた。一方で周囲の期待は大きく「気持ちとプレーがかみ合わない」時期もあったと打ち明ける。「重圧を気にしないというか、純粋に楽しめるようになった」。6日に24歳を迎えた。真価を試す舞台を待つ。