ソフトバンク戦で左越えに通算100号本塁打を放つオリックス吉田正尚=5月23日、ペイペイドーム

 ペナントレースでの勢いそのままに東京五輪を迎えそうだ。現在の打率3割4分は両リーグ合わせても断トツの数字。「広角に打つ技術が上がった」とオリックスの吉田正尚(福井県・敦賀気比高出身)は言う。球界屈指のスラッガーに成長した27歳が五輪の主役に名乗りを上げる。

 飛躍の原点はプロ1、2年目の苦境にある。青山学院大からドラフト1位で入団すると、16年は腰痛で春から長期離脱。17年も出場は70試合に届かなかった。

 現状打破へ自ら動いた。アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダリスト、室伏広治氏(現スポーツ庁長官)に直筆の手紙を送りトレーニング法の師事を志願した。「絶対に自分のためになる」。以来、“室伏道場”での鍛錬は年始の恒例となった。

 3年目に開花し、ここまで4季連続で全試合出場を続ける。「まずはけがをしないこと」。昨季オフに帰省した際も抱負を述べた。試合後のマッサージや食事に至るまで徹底した自己管理で好調を維持する。

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 私生活も充実する。昨年7月の七夕に第1子の娘が生まれ「力をもらっている」と頬を緩める。今季はオリックス選手会長に就いた。2年連続で最下位に沈んだチームを奮起させる日々だ。

 19年秋の国際大会「プレミア12」。メンバー入りしながら決勝の舞台に立てず「自分のレベルは低い」と雪辱に燃えた。その後は五輪について多くを語らず「目の前の一打席一打席だ」と自分に言い聞かせるように集中した。結果を重ね、文句なしの代表選出。「日本の勝利のためにパフォーマンスを最大限発揮したい」。時は来た。