乳児に対する医療事故訴訟で和解する見通しとなったことを受け、謝罪する福井県立病院の橋爪院長(左)と前川事務局長=6月9日、福井県庁

 生後2カ月の乳児が福井県立病院で手術を受け、術後管理に過失があり重い後遺障害を負ったとして訴訟を起こした両親らに、1億4千万円の損害賠償を支払うことで和解する見通しとなったことを受け、県立病院側は6月9日、県庁で記者会見した。橋爪泰夫院長らは「このような事態に至ったことを心からおわび申し上げます」と謝罪した。再発防止策として、術後管理の改善や職員研修の充実に努めていると説明し「職員一同、安全管理を徹底する」と述べた。

 病院によると、手術後に病室に戻って50分後、乳児の顔色が悪いことに父親が気付いた。ナースステーションから看護師を呼び、駆け付けた看護師が気道を確保し酸素投与量を増やすなどの蘇生措置を行ったが、胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸が行われたのは小児科医の到着後で、帰室から1時間後だった。

 中立の立場の医師が福井地裁に提出した鑑定書では「継続的な呼吸などの監視、急変時の迅速な対処を行っていれば後遺障害は回避することができたと考えられる」とされ、術後管理が不十分とされた。前川嘉宏事務局長は「緊急事態に備えた研修が足りなかった」と述べた。

 病院では事故を受け、血中酸素濃度や脈拍を測る「パルスオキシメーター」と心電図を、術後の全ての乳幼児患者に装着するよう改善。体温、脈、血圧の確認回数を帰室1時間後の1回から、15分後、30分後、1時間後の3回に増やすなど術後管理を見直した。小児科病棟に勤務する看護師には毎月、蘇生措置の研修を行っている。