オープン初日に大勢の来場者でにぎわった道の駅「越前おおの荒島の郷」。福井県内では今後も建設ラッシュが続く=4月22日、福井県大野市蕨生(日本空撮・小型無人機ドローンで撮影)

 「なぜ各地に道の駅ばかりできるの?」―。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)にそんな疑問が寄せられた。福井県内で17施設目となる道の駅「越前おおの荒島の郷」が4月に大野市にオープンし、今後2年間でさらに嶺北地域に3施設、嶺南地域に1施設が開業する予定。設置者の市町や県に聞くと、旅の目的地として一般の関心が高まっていることに加え、車社会の福井県に合った観光振興ができる点が魅力的に映っているようだ。

⇒【画像】福井県内の道の駅

 道の駅は形態が民間のドライブインと似ているが、市町や県、国が整備する公共施設。市町などの申請に基づき国土交通省が登録する。安全で快適な道路を目指し国交省が1993年から設置を進めている。2021年3月末時点で全国で1187施設が整備されており、平均で各都道府県に25施設ある計算だ。

 登録要件は駐車場やトイレが24時間無料で利用できることなどだが、単なる“ドライブ中の休憩所”というイメージはもう古い。国交省は既に13年から「道の駅自体が目的地」というコンセプトを掲げ、さらに20年からは「地方創生・観光を加速する拠点」と打ち出している。

 「越前おおの荒島の郷」設置者である大野市の産業政策課の担当者は「アウトドア用品大手モンベルの出店部分が地方創生施設。カヌー体験ができる池も含め市が直接管理している」と説明する。26年春に県内区間が全線開通する中部縦貫自動車道のインターチェンジに隣接しており「道路を降り大野を周遊してもらう核になる。農産物直売所や観光情報の発信機能もあり、休憩で立ち寄るだけでも地域を知ってもらえる」と他の観光施設にはない魅力を説明する。

 赤字経営が問題となる道の駅がある中、「越前おおの荒島の郷」は、中部縦貫道の県内全通までは施設を管理する事業者に対して運営費として市が指定管理料を払うものの「全通後は来場者も倍増が見込まれるため、指定管理料はゼロとする計画」(同課)という。

 23年4月にあわら市初の道の駅「蓮如の里あわら」をオープン予定の同市も、期待するのは車社会に適した地域振興。「広い駐車場を備え加賀市などからでも利用しやすい。隣接する北潟湖を生かしたアクティビティーで誘客を図り、市北部エリアの観光拠点としたい」(市道の駅整備推進室)

 道の駅は近年、大手の旅行ガイドも特集本を出すなどドライブ先として注目が高い。県内の“道の駅ラッシュ”について県道路保全課の担当者は、こうした一般からの人気に加え「道の駅は道路地図や道路の案内標識にも記載され、県内各駅が連携するスタンプラリーなどの企画もある。ほかの施設より効果的にPRできることも人気の理由では」と話している。

 ■多様な機能「防災」期待も

 ドライバーの休憩や地域振興など、多様な機能を担う道の駅。幹線道路沿いに位置し広い駐車場もあることから、福井県外では地震や豪雨時に災害派遣車両の基地になったり、資機材の保管場所になったりと、災害復興にも役立てられている。

 国土交通省が2020年から取り組む道の駅「第3ステージ」で、最重点に位置付けられるのも防災機能強化。国交省は今後、防災分野の設備の整備などを支援する「防災道の駅」を認定していく計画で、県内ではヘリポートなどを備える「越前おおの荒島の郷」の申請を県が準備している。県の地域防災計画にも同施設を位置付ける予定だ。

 また、優れた地域創生の企画を財政支援する「重点道の駅」には県内4施設が選ばれている。このうち、舞鶴若狭自動車道近くにある「若狭おばま」は、高速道をいったん降りて休憩場所として利用しても料金が割高にならない「一時退出」の対象道の駅となっている。

 【道の駅】国土交通省の登録要件は▽広い駐車場や原則洋式の清潔なトイレなど休憩施設が無料で24時間利用できる▽道路状況や観光といった情報発信機能がある▽地域振興施設など地元との連携機能がある―など。設置者は市町や市町が推薦する公益法人などで、市町が単独で整備するケースと、道路管理者である国、県と共に整備するケースがある。

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