福井に住むマンスールさん

インドからはるばる福井県にやってきた男性がいます。障害児者通所施設「オレンジキッズケアラボ」で働いているマンスールさん。同じアジアとはいえ、インドからすれば遠い日本ですが、マンスールさんに福井県はどう映ったのでしょうか。今回、ゆるパブコラムに寄稿してもらいました。

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インドから福井に来て、一年が過ぎました。
私は ここに住みながら、季節の移り変わりと共(とも)にいたるところで福井を感じています。

 春になると 福井の街(まち)が  桜の花でうすいピンク色に染(そ)まります。まるで厳(きび)しい冬を乗り越えた私たちへのプレゼントのようです。

夏の想像以上の蒸し暑さの中、ぶどう狩りや梨狩りに行き、越前海岸(えちぜんかいがん)の海にも飛び込みました。日本海の青い海に浮(う)かびながら見た強烈(きょうれつ)な太陽は忘れられません。

秋には 街路樹(がいろじゅ)が 赤や黄色に色づき、特にベトナムの友達らと行った健康の森のいちょう並木(なみき)の美しさに 目を奪(うば)われました。

冬はやはり雪です。ある朝、ドアを開けると私の目に飛び込んできたのは 辺り一面(あたりいちめん)をおおう真っ白な雪。その光景の美しかったこと。空から静かに舞い降りてきて、私の手にのった雪、とても軽くてあっという間に消えてしまいました。これが雪ですか…と、とても感動しました。また、通る人が歩きやすいように、朝早くから皆さんが雪かきをしているのにも驚きました。自分だけでなく、人のためにも雪かきをする人達の心の温かさをいっぱい感じました。

毎日、仕事に通う途中に見える山々や田んぼの景色(けしき)も日を追うごとにどんどん変わっていきました。

福井の町は自然に囲まれ、福井の人たちは  その自然の変化にさからわず、溶(と)け込んでいるように思います。そのせいか、私の周りの人たちは 穏(おだ)やかでとても優しいです。一人で住んでいる私をいろいろな所へ連れ出してくれます。また 福井の食材(しょくざい)を使った美味しい家庭料理をごちそうしてくれたりします。ある時は、ご近所の人が栗(くり)拾いに誘(さそ)ってくれ、その栗で栗ご飯を作ってくれたこともあります。

福井の自然、そして、たくさんの人たちから 私は愛をいただいています。この温(あたた)かさの中に、私は福井を感じているのだと思います。
今年の春、花見に行った時、会社の人から聞いた話があります。日本では高齢になると、桜を見ながら、あと何回この桜を見ることができるだろうかと思うそうです。私は高齢ではありませんが、インドに帰るまでにあと何回この美しい桜を見ることができるだろうかと思いました。