国重要伝統的建造物群保存地区に選定された今庄宿=5月19日、福井県南越前町今庄

 文化審議会は5月21日、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に福井県南越前町の今庄宿を選定するよう萩生田光一文部科学相に答申した。江戸時代に宿場町として栄えた地区で、昔ながらの地割りや、重厚感のある町屋が立ち並ぶ歴史的な町並みが評価された。福井県内の選定は1996年の熊川宿(若狭町)、2008年の小浜西組(小浜市)に続く3例目で、嶺北では初めて。

 対象となるのは今庄宿のほぼ全域の旧北国街道約1・1キロ区間、約9・2ヘクタール。エリア内には昭和30年代以前に建てられた「伝統的建造物」の対象が約160棟あり、そのうち景観の維持・復元について所有者の同意が得られた118棟が同建造物として登録される。

 今庄宿は1602(慶長7)年、福井藩主結城秀康が旧北国街道に宿駅を整備したのが始まり。旅人が行き交う宿場町として繁栄し、街道沿いには旅籠や茶屋などが軒を連ねた。

 現存する建物の多くは1818(文政元)年の大火以降、江戸後期から昭和30年代にかけて建てられたものとみられる。重い雪に耐えられるように、太い梁(はり)が軒先まで張り出す造りが特徴的で、豪雪地帯ならではの宿場町のたたずまいを伝えている。

 1896(明治29)年に旧北陸線敦賀―福井が開通すると、鉄道の町としても発展。歴史的な町並みの中には、明治期の酒蔵や昭和初期に建てられた社会教育施設「昭和会館」など近代的な建物も残る。

 地元住民は10年以上前から町並み保存活動を続けてきた。町は2017年度から重伝建選定に向けた本格的な調査を開始。昨年12月に県を通して文化庁に選定申出書を提出した。夏以降の官報告示を経て正式決定となる。