喪主はだれが務める?

 「葬儀の喪主が『長女の夫』。長女ではなく男性が務めないとだめなの?」―。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)にそんな疑問が届いた。福井県内の葬儀社に聞くと、県内は保守的な土地柄からか喪主は男性優先の傾向が強いものの、新型コロナウイルス禍で家族葬が増える中で、女性の喪主も増えているそうだ。

 本紙「おくやみ」欄を見ると、今年に入って4月下旬まで、喪主を「長女」が務めていたのは103件。一方で「長女の夫」は75件、「娘婿」は27件の合計102件。おくやみ欄は「長女の夫」「娘婿」などを遺族の意向で書き分けている。喪主としては血のつながりのある長女と、血縁のないその夫は、拮抗(きっこう)している状況だ。実の娘でなく、その夫はどのように喪主に決まるのだろう。

 「昔ながらの『喪主は男性』という考えが残る中、女性は自ら、夫に喪主役を頼むことも多いようだ」と福井、坂井両市を中心に12の葬祭ホールを運営する法美社の海老名勝明・セレモニー事業部長。「元々、葬儀は家督を継ぐ息子のお披露目の場でもあった。そのため、高齢の夫が亡くなった場合、県外では配偶者である妻が喪主を務める場合も多いが、県内では息子が務めることが多い」

 同社の1級葬祭ディレクターの佐藤尚登執行役員は「かつては村の長老が喪主を決めていたケースがあった。葬儀費用といった経済的負担も考慮し、知人が多く参列する男性を選ぶ事情があったようだ」という。

 嶺北とは異なる慣例があるという嶺南でも、男性優先の喪主の決まり方は同様のよう。敦賀市の「ハートホール橋詰」の中重貴取締役は「夫を立てるという意味や、葬儀を取り仕切る労力を考慮し、女性は夫に頼むケースが多い」という。

 ただ両社とも「家族葬が増え女性が喪主を務めることも増えた」との感触は一致する。海老名部長は「新型コロナが終息しても、近親者で葬儀を行う傾向は続くかもしれない」とみている。

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